【報告】横須賀のドキュメンタリー映画「Yokosuka1953」を上映して

コロナ感染対策が緩やかになりはじめた4月22日、横須賀市文化会館大ホールに和歌山大学観光学部教授で映画監督の木川剛志氏を迎えて、映画「Yokosuka1953」と木川監督のお話を開催した。コロナ以前を思わせる900人程の来場者に用意したプログラムも底をつく賑わいとなったが、盛会の内に無事終終了した。

上映前、出演者の秋谷のみなさん
上映前、出演者の秋谷のみなさんと

2018年、木川教授のもとにアメリカから届いた1本のFacebookメッセージから始まったこの作品は、1947年横須賀生まれで混血児木川洋子が、66年ぶりの故郷で実母を探す旅を描く長編ドキュメンタリー。上映後司会の松崎氏とのトークでは、地元関係者との出会いや実母の写真の発見など、奇跡としか思えない具体的な数々の出会いを楽しく話された。同姓であるだけのご縁で、全く見知らぬ横須賀で取り組んだ熱意と行動力ある京都出身木川監督に、大きな拍手をいただいた。

木川剛志氏と松崎まこと氏の対談
木川剛志監督のお話 聞き手は、松崎まこと氏
文化会館前で記念撮影
文化会館前で記念撮影

アンケートにより、
見慣れた家並み、秋谷地域の実母と交流のあった人々、戦後進駐軍が上陸した当時の秋谷の様子を語る人々の登場に懐かしく親しみを感じながらも、多くの来場者は横須賀で、秋谷であった戦争の悲しい置き土産を知らなかったという。かなり高齢の方々が目立った会場では、洋子さんが語るアメリカでの過酷な半生や実母の墓前に「私が会いに来ました」と手を合わせる姿等々が、多くの方の涙を誘っていた。

『Yokosuka1953』の監督、木川 剛志より

2023年4月22日(土曜日)、横須賀市文化会館大ホールでおこなわれた、ドキュメンタリー映画『Yokosuka1953』の監督、木川 剛志さんより、メッセージエッセイをいただきました。

No.128 令和5年4月15日発行「16ミリ試写室だより」掲載


横須賀を旅して

映画監督・和歌山大学観光学部教授
木川 剛志

2018年9月末、初めて和歌山から横須賀に向かった日のこと。横浜駅から乗り込んだ京急快速特急は、外の雨のせいか窓ガラスはくもり、深まる夜の黒さを背景に、何か昔の映画の中に迷い込んだような、不思議な旅を予感させるものだった。横須賀中央駅。ホテルニューヨコスカにチェックインし、ロビーのバーで少し飲んだ後、ドブ板を歩き、大滝名店ビルの古い店で昔の話を聞いた。

部屋に戻り、持参した戦後間もない頃の混血児の方々について書かれた本を読んだ。
東京の川に混血児の嬰児が浮かんでいたこと、横須賀の街角に立っていた女性たちのこと。黒く鬱屈した空気を想像した夜だった。
映画YOKOSUKA1953はこんな私と横須賀との偶然の、しかし必然とも言える出会いから始まった。

研究調査のコツを聞かれることがある。私の場合は単純で、まずは現場で昼食2回と夕食3回を食べること。もちろん1日で。飲食店は人拠り所、そこでの会話で土地の空気を感じることができる。そして、目的があっても要件はこちらから切り出さないこと。会話が進むと向こうから「どこから来たんですか?」「和歌山からです」「え?和歌山から、なんでそんな遠くから?」となってから初めて「混血児のお母さん探しをしています」と答える。そうするとこちらの話をしっかりと聞いてくれる。少しずつ少しずつ、急がずに関係を築くこと。

洋子さんと母は複雑な家族の形。それは当時の横須賀では、決して珍しくはなかった。しかし、時代とともにそんな家族はいつのまにかいなくなる。どこでどうしてるのか、地元の人たちの心の中にそれは残っていた。その欠けたピースの一つが今回の映画が見せたものだったのだろう。

過去の横須賀に向かった初めての日。ひどく無機質で悲しい色だったその世界は、地域の人たちと一緒に歩むことで、いつしか暖かい色になっていた。私の中の横須賀の風景、いや心象の変化がこの映画だったのかもしれない。

関連リンク

和歌山大学研究者総覧 木川 剛志

発行「16ミリ試写室だより」No.128

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

16ミリ試写室だより

No.128 令和5年5月15日「16ミリ試写室だより」

  • 横須賀のドキュメンタリー映画を上映して
  • ─風─ エッセイ 横須賀を旅して 映画監督・和歌山大学観光学部教授 木川剛志
  • 映画会情報
  • 森田監督の遺作(?)が完成! 映画「小さな庭の大きな宇宙」
  • 映画「原発をとめた裁判長〰原発をとめる農家たち」
  • ~~戻ってきた⁈ 「どこでも素敵な映画館活動」~その2~
    人生百年時代の過ごし方
    自治会の熱心な取り組みに感謝!
    心に響いた「42~世界を変えた男~」
    懐かしい活動の場で映写協力
  • しっかりと支え合って 第47回定期総会終わる
  • 運営だより
    初心者のスマホ体験教室
    のたろんフェア 2023 に 参加
  • 報告(映写活動・予定)
  • いちご狩り ~会員親睦会~
  • 会員ふれあいメール「楽しく過ごすために」松本つま子

【有料上映会】ドキュメンタリー映画『Yokosuka1953』上映と木川剛志監督のお話(2023.4/22)

新型コロナウイルス感染蔓延防止に、ご協力ください。

  • 体調の優れない方は参加を控えてください。
  • マスクの着用をお願いします。

※本上映会の内容は変更する場合があります。あらかじめご了承ください。

『Yokosuka1953』横須賀上映
『Yokosuka1953』横須賀上映のチラシ裏面

ドキュメンタリー映画『Yokosuka1953』上映と木川剛志監督のお話

開催日:2023年4月22日(土曜日)開場13:00 開演13:30

会場:横須賀市 文化会館 大ホール
〒238-0016 神奈川県横須賀市深田台50
京急線「横須賀中央駅」下車 徒歩10分

チケット料金:1000円(前売り800円)全席自由席

チケット販売:
横須賀市文化会館 ☎046-823-2951
品川文化堂(大滝町)☎046-823-1848
井出新聞店(衣笠栄町)☎︎046-851-0235
アナザワフォト(追浜駅前)☎︎046-865-9963

『Yokosuka1953』

映画「Yokosuka 1953」予告編(90秒)

ホームページ ドキュメンタリー映画『Yokosuka1953』

木川 剛志 (きがわ つよし) 監督

和歌山大学観光学部教授。1976年京都市上京区上七軒界隈生まれ。祖父は新興京都や大映に属した美術制作の職人。1999年に京都工芸繊維大学を卒業後、スリランカ、中国大連、アメリカの設計事務所の勤務を経て、2002年にロンドン大学バートレット大学院修了。2018年の夏より取り組んで来た本作「Yokosuka1953」が「テレメンタリー」や「奇跡体験!アンビリバボー」などで放映され話題となる。

木川剛志

研究者詳細 木川 剛志 | 和歌山大学のホームページ


主催:16 ミリ試写室
共催:横須賀市教育委員会
後援:
横須賀市
(公財) 横須賀市生涯学習財団
(福) 横須賀市社会福祉協議会

発行「16ミリ試写室だより」No.127

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

16ミリ試写室だより

No.127 令和5年1月15日「16ミリ試写室だより」

  • 第33回有料上映会のお誘い 映画「Yokosuka1953」と木川監督のお話
    2023年4月22日(土)13:30 横須賀市文化会館 大ホール
  • ─風─ エッセイ「風」に寄せて ソプラノ歌手 鈴木慶江
  • 映画会情報
  • ドキュメンタリー映画の試写会で情報収集!
  • 報告(映写活動・予定)
  • 会員ふれあいメール 穏やかにそして謙虚な気持ちで 村田裕子

ソプラノ歌手 鈴木慶江さんより

2022年9月17日(土曜日)、横須賀市文化会館大ホールでおこなわれた、映画「地球交響曲 第九番」上映の舞台ですばらしい歌を披露してくださったソプラノ歌手 鈴木慶江さんより、メッセージエッセイをいただきました。

No.127 令和5年1月15日発行「16ミリ試写室だより」掲載


エッセイ「風」に寄せて

ソプラノ歌手 鈴木慶江

記念すべき2023年1月1日のカウントダウンは、タイのバンコクで、3万発の花火と共に感動的な50歳の誕生日を迎えました。
花火が打ち上げられたチャオプラヤー川周辺は、趣き豊かな老舗高級ホテルが立ち並ぶ場所で、朝も夜もテラスからの景色に癒されました。川のある場所は世界中どの街に行っても、時間の流れがゆっくりしていて、どことなくのんびりしている感じがして落ち着きます。
市街地は川沿いの雰囲気とは打って変わり、超高層ホテルが所狭しと建ち並び、その数が東京よりもはるかに多いのに驚きました。どのホテルも一つ一つがデザイン性に溢れていて、アジアのパワーに圧倒されました。
思い返すとヨーロッパへ行く事が多く、アジアは北京と台湾、シンガポールにしか行ったことがなく、冬の東南アジアは初めてでした。この時期のバンコクは、ベストシーズンで湿気が少なく最高30度、最低20度前後と、1月とは思えない快適な陽気が最高に気持ち良く、川伝いに船で要所要所へ行くのが毎日の楽しみでした。
元旦には、船に乗り『ワット・アルン』へ。三島由紀夫の小説「暁の寺」でも有名な美しい寺院です。遠くで見ると神々しく近寄り難いのに、近くに寄るとモザイク一つ一つ、全て違う可愛い図柄が描かれていて、ホッコリしつつ、その緻密なデザインに感動しました。
民族衣装のシワーライに着替え、夕焼けの光の中に佇むと、急に時空を飛び越えたかのような感覚になりました。自然と呼吸も深くなり、夕方の風に揺れる塔に吊るされた小さな鐘の音たちもお祈りの声も観光客の喧騒もだんだんと遠ざかって、そこに溶け込んでいくようでした。
この20数年は常に気の抜けない年末年始でした。年末にはクリスマスコンサートや第九公演、年明けにニューイヤーコンサート、元旦2日にはオーケストラリハーサルが始まる為、クリスマスもお正月も落ち着かない年の方が多く、当然、誕生日気分もお預けです。特にこの数年は見えない不安との闘いの日々でしたので、こんなにもゆったりとした気持ちで誕生日を過ごせる日が来るなんて、夢のようでした。
初めて海外で新年を迎えた50代の幕開けは、まるで人生の折り返しを祝ってくれているかのような、幸せと感謝溢れるかけがえのない時間になりました。

関連リンク

鈴木慶江オフィシャリサイト

発行「16ミリ試写室だより」No.126

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

16ミリ試写室だより

No.126 令和4年9月25日「16ミリ試写室だより」

  • 響き渡る心を込めた演奏に涙! 上映会を終えて
  • ─風─脈動する歴史に参加する生き方〜もて余す表現者の業〜 映画プロジューサー 矢間秀次郎
  • 映画会情報
  • 戻ってきた?! 「どこでも素敵な映画館活動」
     人生最後の日々を楽しく生きるには
     心地好い海風に吹かれて 野外映画観賞会
     静か~に観賞! 「ペット2」
     子どもたちとの交流を楽しむ
     マットの上でゆったり観賞
     100回目を迎えた 子ども映画会
  • 映写活動 6月~9月 18回・参加者1,231人
  • 予定
  • 会員ふれあいメール 半世紀を共に過ごした連れ合いとの別れ 古橋康子

【報告】有料上映会 映画「地球交響曲 第九番」上映と鈴木慶江ミニ・コンサート

2022年9月17日(土曜日)横須賀市 文化会館大ホールにて、『映画「地球交響曲 第九番」上映と鈴木慶江ミニ・コンサート』を開催しました。

映画「地球交響曲 第九番」上映と鈴木慶江ミニ・コンサート
一瞬マスクをはずしての記念撮影
16ミリ試写室と鈴木慶江さん
久しぶりの再会に喜びあう16ミリ試写室メンバーと鈴木慶江さん
鈴木慶江ミニ・コンサート
第1部 鈴木慶江ミニ・コンサート
満席の会場
満席の会場

響き渡る心を込めた演奏に涙! 上映会を終えて

お天気にも恵まれた9月17日、横須賀市文化会館大ホールで、ソプラノ歌手鈴木慶江さんを迎えて、ミニ・コンサートと映画「地球交響曲第九番」とのコラボによる第32回有料上映会を開催。700人弱の来場者で賑わい、心に響く上映会を静かに楽しんだ。

会が2001年に始めた有料上映会の1回目の作品が龍村仁監督「地球交響曲第一番」。以来、作品が公開される度に横須賀上映会を開催。2007年には、市制100周年市民主催事業で「第六番」と鈴木慶江ミニ・コンサートを実施。以後映画とコンサートは4回目。

第1部のコンサートでは、急遽参加のピアニスト河原忠之氏との息の合った舞台で、「地球交響曲」シリーズでの楽曲カッチーニのアヴェ・マリアをはじめ、アヴェ・マリア3曲やオペラのアリア等々、会場に響きわたる魂のこもった歌声とトーク、さらにピアノ・ソロの「赤とんぼ変奏曲」とトークに包まれた心に浸みる舞台は、30分のオーバーで終了となった。

第2部ではシリーズ最終章「地球交響曲第九番」の上映。「すべての生命は音から生まれ、音に還ってゆく」をテーマに、指揮者小林研一郎の音楽とのかかわりを柱に、ベートーヴェンの「第九」への熱き思いや激しく優しい演奏活動を、美しい自然映像や音楽を背景に本庶佑らのメッセージを描いていた。ガイヤの声を心で感じたのではないだろうか?「感動した!」「よかった」「素晴らしかった!」「コバケンの第9が凄い!」と多くの来場者に声を掛けられ、無事終了した。

アンケート集計データから、来場者の多くが女性、70才以上、ほぼ半数がリピーターだ。多くが第1部の舞台に感動し・嬉しく・素晴らしく・亡き人を思い涙し、しびれ、鳥肌が立った、また心が洗われ・元気をもらい、参加してよかったと。さらにピアノが素晴らしいの声も多かった。
慌ただしく後片づけを終え心地よい疲れを感じながら、散会となった。なお、ウクライナ復興支援募金箱には義援金78,968円が集まった、温かな心に感謝!

16ミリ試写室だよりNo.126より

【有料上映会】映画「地球交響曲 第九番」上映と鈴木慶江ミニ・コンサート(2022.9/17)

新型コロナウイルス感染蔓延防止に、ご協力ください。

「半券」はチケットの小さいほうです。氏名と電話番号を記入してください。
  • 半券に<氏名>と<連絡先電話番号>を書いてください。(万が一感染が発生したときに備えます)
  • 体調の優れない方は参加を控えてください。
  • マスクの着用をお願いします。

※本上映会の内容は変更する場合があります。あらかじめご了承ください。

映画「地球交響曲 第九番」上映と鈴木慶江ミニ・コンサート
画像をクリックするとチラシのPDFが開きます

鈴木慶江 ミニ・コンサート
映画「地球交響曲 第九番」GAIA SYMPHONY NO.9 上映(123分)

開催日:2022年9月17日(土曜日)開場12:30 開演13:00

会場:横須賀市 文化会館 大ホール
〒238-0016 神奈川県横須賀市深田台50
京急線「横須賀中央駅」下車 徒歩10分

チケット料金:2900円(前売り2700円)
※中学生・高校生は 1500円(前売りも1500円)です。

チケット販売:
横須賀市文化会館 ☎046-823-2951
品川文化堂(大滝町)☎046-823-1848
井出新聞店(衣笠栄町)☎︎046-851-0235
アナザワフォト(追浜駅前)☎︎046-865-9963

地球交響曲

「地球交響曲 第九番」GAIA SYMPHONY NO.9

ホームページ「瀧村仁監督作品 地球交響曲 ガイアシンフォニー」

鈴木慶江

オペラ歌手
クラシックとポップスの境界線を超越し、進化するトップ・オペラ・シンガー。
2002年「NHK紅白歌合戦」に紅組の1人として出演、温かな歌声、華やかな舞台姿を日本中に印象づけ、オペラブームの火付け役となる。
東京藝術大学声楽科、同大学院オペラ科修了後、国内の数々のコンクールで優勝後、ミラノへ留学、「第31回ベッリーニ国際音楽コンクール」等、数々の国際コンクールで最高位を受賞する。
多くのオペラやリサイタルに出演する他、「ニュースステーション」「あさイチ」等、報道番組を含む多くのテレビ、ラジオに出演、「琥珀エビス」「JAL」等多くのCMソングを歌う一方、panasonic社の一眼デジタルカメラや日本海フェリーのCMに本人出演、2016年10月には鈴鹿で行われたF1グランプリ決勝で、国歌を独唱、世界170カ国に生中継され話題を集める。
『子どもの為の教育プラグラム』プロジェクトや、社会貢献活動の他、東日本大震災復興支援のためのチャリティ公演や現地のボランティア活動を続けており、その公演には上皇陛下ご夫妻もご臨席されるなど、多方面にわたる活動が注目されている。
最新アルバム『OPERATIC FANTASY 』を含む多くのアルバムでクラシックチャート1位を記録している。
シャンパーニュ騎士団シュバリエ叙任。関西国際学園特別講師及び顧問。神奈川県横須賀市出身。
映画『地球交響曲』では、第五番、第六番、第七番、第八番にて数々の楽曲が使われている。

鈴木慶江

鈴木慶江ホームページ http://www.noriesoprano.com

主催:16 ミリ試写室
共催:横須賀市教育委員会
後援:
横須賀市
(公財) 横須賀市生涯学習財団
(福) 横須賀市社会福祉協議会

発行「16ミリ試写室だより」No.125

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

16ミリ試写室だより

No.125 令和4年6月15日「16ミリ試写室だより」

  • 映画「戦争と青春」有料上映会を終えて、今、平和についてみんなで考えよう!
  • ─風─ 最期の講演会 映像編集者 早乙女愛
  • 映画会情報
  • 報告(映写活動 3月から5月 17回 参加者869人)
  • 予定
  • 会員ふれあいメール 第2ステージ元気で!楽しく!! 森裕子