発行「16ミリ試写室だより」No.130

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

16ミリ試写室だより

No.130 令和6年1月25日「16ミリ試写室だより」

  • 映画「生きる」大川小学校 津波裁判を戦った人たち 上映と関係者のトーク のお誘い
  • ─風─ エッセイ「いまから46年前」映画監督 安孫子亘
  • 映画情報
  • 映画「霧幻鉄道」上映会を終えて
  • 折々の活動から・・・・
     映画「稲むらの火」の子ども映画会
     再開の温かな老人ホーム訪問映画会
     子どもたちの幸せを願う母心
     小さな手を合わせて80%の準備
  • 運営だより
     6年度定期的な映画会上映作品の選定
     テーマは「わたしの健康法」
  • 報告(映写活動・予定)
  • 会員ふれあいメール「楽天家でおめでたい私」渡辺よし子
  • 「いちご狩り」に出掛けた

【報告】映画「霧幻鉄道」上映会を終えて

山形由美さんとDAIJIさんによるミニライブ

幸いにもお天気に恵まれた11月11日、横須賀市文化会館大ホールに、フルーティスト山形由美さんとギタリストDAIJIさん、さらに安孫子監督を迎えて、映画「霧幻鉄道 只見線を300日撮る男」とミニライブ&トークを開催した。

記念撮影

会場のホワイエには映画の主人公、郷土写真家 星賢孝氏の大きなパネル写真12枚(A1サイズ)を展示、800人程の来場者(前売券参加率94%)を迎えて賑わった。安孫子監督とは2016年映画「春よこい」以来の再会である。映画上映に続き、音楽担当の山形由美さんとDAIJIさんによる映画のオープニング曲やテーマ曲を交えた素敵なライブにうっとりし、さらに監督も登壇し3人のトークと盛り沢山な上映会を楽しんでいただいた。

ホワイエでおこなわれた山形由美さんとDAIJIさん安孫子監督のサイン会

終了後のホワイエは、出演者3人のサイン会に集まる人や展示の写真を鑑賞する人であふれ、賑やかな内にお開きになった。

多くの来場者がご協力くださるアンケートには、とても率直なご意見、ご感想が記載されており、「この映画を観よう」と足を運ぶ方々の期待や思いがみえる。
今回のアンケート集計から、JR只見線と奥会津の美しく幻想的な絶景に思いを寄せ期待した方と、フルーティスト山形由美さんのミニライブに思いを寄せた方がご来場下さったようだ。「映像が美しく幻想的」「只見線に乗りに行きたい」「音楽が素晴らしい」「山形さんの生演奏に感動!」と多くの方が寄せている。映画もライブも満足し「良かった」と評価した方が80%、山形由美さんのファンが多かったのかライブは91%が評価した。いつもの上映会に比べ男性が多く、きびしく来場者のマナーの悪さ(座席の確保やスマホ操作など)を指摘する声もあった。

「ドキュメンタリは考える道具、真実を知る道具」を基本に上映活動を続けているが、今回も星賢孝氏の郷土を愛する地道で熱心な活動を通し、地域の活性化やローカル線の在り方についても考えるきっかけとなったのではないだろうか。先ずは、JR只見線に乗り、奥会津に出掛けてみたい。

関連リンク

メッセージエッセイをいただきました。
映画「霧幻鉄道」の監督、安孫子亘さんより

【有料上映会】ドキュメンタリー映画「霧幻鉄道」上映と山形由美ミニ・ライブ&トーク(2023.11/11)

映画監督・映像作家 安孫子亘(あびこ わたる) | ミルフィルム

山形由美オフィシャルサイト

DAIJI(インスタグラム)

映画「霧幻鉄道」の監督、安孫子亘さんより

2023年11月11日(土曜日)横須賀市文化会館大ホールでおこなわれた、ドキュメンタリー映画「霧幻鉄道」の監督、安孫子亘(あびこ わたる)さんより、メッセージエッセイをいただきました。

No.128 令和5年4月15日発行「16ミリ試写室だより」掲載


今から46年前

映画監督 安孫子 亘

いまから46年まえは昭和52年(1977年)。横田めぐみさんが新潟市で北朝鮮に拉致された年。そして青酸コーラ無差別殺人事件やエルビス・プレスリーやチャップリンが亡くなった年。そして「16ミリ試写室」が発足した輝かしい年なのである。

「お母さんの16ミリ教室」で映写機操作を学び、長年フィルムと一緒に横須賀の街をグルグル廻ってきたその団体がドキュメンタリー映画「霧幻鉄道」を呼んでくれた。主題曲のフルーティスト山形由美さんと音楽担当のDAIJIさんの生演奏で華を添えてくれ、大きなホールを満杯にする「16ミリ試写室」のチカラに地域との信頼を強く強く感じた。

映画の主人公も30年以上に渡り奥会津の風景と只見線だけを撮り続け、その宝がやっと輝き始めた物語だが。やり続けることの原動力こそが全ての礎になっていると強く感じる。ゴールは無くていい。年齢も考えなくていい。ひたすら次の目標を立てて進むことが、すべてのエネルギーになっていくことをこの映画制作を通して感じる。あとどれくらい出来るか? 残りどれくらいだろう? なんて考えた時からすべては終わる。次の目標までどうやって楽しもうか? そして、また新たな一年をどう楽しもうか。また「16ミリ試写室」のエネルギッシュなスタッフの皆様に会うために、そして今遺さなければいけない物語を皆さんに知ってもらうためにいい作品を創りたいと思います。

【令和6年能登半島地震】日本人にとって特別な日にまさかの悲劇が襲った。被災されたすべての方々にお見舞い申し上げると共に、被災者への世間の関心はニュースから消えた時から忘れ去られるのも現実であることが悲しい。
今年公開となる新作映画「決断 運命を変えた3.11母子避難」はそんな避難者の壮絶な苦悩を描いた作品である。避難者の出ない暮らし、そして避難者になった場合の手厚い支援をもっと充実させなければ、この「災害列島」で生き抜く事は困難であることを伝えたい。

ドキュメンタリー映画「決断」予告編

映画監督・映像作家 安孫子亘(あびこ わたる)プロフィール | ミルフィルム

発行「16ミリ試写室だより」No.129

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

16ミリ試写室だより

No.129 令和5年9月10日「16ミリ試写室だより」

  • ドキュメンタリー映画「霧幻鉄道」上映と山形由美ミニ・ライブ&トークのお誘い
  • ─風─ エッセイ「まだまだボーットしてはいられない」横須賀市ボランティア連絡協議会 会長 佐藤昌久
  • 映画情報
  • 「原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち」の横須賀上映会で協力団体として汗を流す
  • コロナ禍でも変わらぬ映画会
    三浦しらとり園の明るく素直な子どもたち
    清光ホームの元気なお友だち
  • 続スマホ体験教室でスキルアップ
  • 運営だより
    より良い映像を出す技術研修会
  • 報告(映写活動・予定)
  • 会員ふれあいメール「やれるうちにやりたいことを」清水千代
  • 活動に先立つ16ミリフィルムの試写

【報告】横須賀のドキュメンタリー映画「Yokosuka1953」を上映して

コロナ感染対策が緩やかになりはじめた4月22日、横須賀市文化会館大ホールに和歌山大学観光学部教授で映画監督の木川剛志氏を迎えて、映画「Yokosuka1953」と木川監督のお話を開催した。コロナ以前を思わせる900人程の来場者に用意したプログラムも底をつく賑わいとなったが、盛会の内に無事終終了した。

上映前、出演者の秋谷のみなさん
上映前、出演者の秋谷のみなさんと

2018年、木川教授のもとにアメリカから届いた1本のFacebookメッセージから始まったこの作品は、1947年横須賀生まれで混血児木川洋子が、66年ぶりの故郷で実母を探す旅を描く長編ドキュメンタリー。上映後司会の松崎氏とのトークでは、地元関係者との出会いや実母の写真の発見など、奇跡としか思えない具体的な数々の出会いを楽しく話された。同姓であるだけのご縁で、全く見知らぬ横須賀で取り組んだ熱意と行動力ある京都出身木川監督に、大きな拍手をいただいた。

木川剛志氏と松崎まこと氏の対談
木川剛志監督のお話 聞き手は、松崎まこと氏
文化会館前で記念撮影
文化会館前で記念撮影

アンケートにより、
見慣れた家並み、秋谷地域の実母と交流のあった人々、戦後進駐軍が上陸した当時の秋谷の様子を語る人々の登場に懐かしく親しみを感じながらも、多くの来場者は横須賀で、秋谷であった戦争の悲しい置き土産を知らなかったという。かなり高齢の方々が目立った会場では、洋子さんが語るアメリカでの過酷な半生や実母の墓前に「私が会いに来ました」と手を合わせる姿等々が、多くの方の涙を誘っていた。

『Yokosuka1953』の監督、木川 剛志より

2023年4月22日(土曜日)、横須賀市文化会館大ホールでおこなわれた、ドキュメンタリー映画『Yokosuka1953』の監督、木川 剛志さんより、メッセージエッセイをいただきました。

No.128 令和5年4月15日発行「16ミリ試写室だより」掲載


横須賀を旅して

映画監督・和歌山大学観光学部教授
木川 剛志

2018年9月末、初めて和歌山から横須賀に向かった日のこと。横浜駅から乗り込んだ京急快速特急は、外の雨のせいか窓ガラスはくもり、深まる夜の黒さを背景に、何か昔の映画の中に迷い込んだような、不思議な旅を予感させるものだった。横須賀中央駅。ホテルニューヨコスカにチェックインし、ロビーのバーで少し飲んだ後、ドブ板を歩き、大滝名店ビルの古い店で昔の話を聞いた。

部屋に戻り、持参した戦後間もない頃の混血児の方々について書かれた本を読んだ。
東京の川に混血児の嬰児が浮かんでいたこと、横須賀の街角に立っていた女性たちのこと。黒く鬱屈した空気を想像した夜だった。
映画YOKOSUKA1953はこんな私と横須賀との偶然の、しかし必然とも言える出会いから始まった。

研究調査のコツを聞かれることがある。私の場合は単純で、まずは現場で昼食2回と夕食3回を食べること。もちろん1日で。飲食店は人拠り所、そこでの会話で土地の空気を感じることができる。そして、目的があっても要件はこちらから切り出さないこと。会話が進むと向こうから「どこから来たんですか?」「和歌山からです」「え?和歌山から、なんでそんな遠くから?」となってから初めて「混血児のお母さん探しをしています」と答える。そうするとこちらの話をしっかりと聞いてくれる。少しずつ少しずつ、急がずに関係を築くこと。

洋子さんと母は複雑な家族の形。それは当時の横須賀では、決して珍しくはなかった。しかし、時代とともにそんな家族はいつのまにかいなくなる。どこでどうしてるのか、地元の人たちの心の中にそれは残っていた。その欠けたピースの一つが今回の映画が見せたものだったのだろう。

過去の横須賀に向かった初めての日。ひどく無機質で悲しい色だったその世界は、地域の人たちと一緒に歩むことで、いつしか暖かい色になっていた。私の中の横須賀の風景、いや心象の変化がこの映画だったのかもしれない。

関連リンク

和歌山大学研究者総覧 木川 剛志

発行「16ミリ試写室だより」No.128

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

16ミリ試写室だより

No.128 令和5年5月15日「16ミリ試写室だより」

  • 横須賀のドキュメンタリー映画を上映して
  • ─風─ エッセイ 横須賀を旅して 映画監督・和歌山大学観光学部教授 木川剛志
  • 映画会情報
  • 森田監督の遺作(?)が完成! 映画「小さな庭の大きな宇宙」
  • 映画「原発をとめた裁判長〰原発をとめる農家たち」
  • ~~戻ってきた⁈ 「どこでも素敵な映画館活動」~その2~
    人生百年時代の過ごし方
    自治会の熱心な取り組みに感謝!
    心に響いた「42~世界を変えた男~」
    懐かしい活動の場で映写協力
  • しっかりと支え合って 第47回定期総会終わる
  • 運営だより
    初心者のスマホ体験教室
    のたろんフェア 2023 に 参加
  • 報告(映写活動・予定)
  • いちご狩り ~会員親睦会~
  • 会員ふれあいメール「楽しく過ごすために」松本つま子

発行「16ミリ試写室だより」No.127

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

16ミリ試写室だより

No.127 令和5年1月15日「16ミリ試写室だより」

  • 第33回有料上映会のお誘い 映画「Yokosuka1953」と木川監督のお話
    2023年4月22日(土)13:30 横須賀市文化会館 大ホール
  • ─風─ エッセイ「風」に寄せて ソプラノ歌手 鈴木慶江
  • 映画会情報
  • ドキュメンタリー映画の試写会で情報収集!
  • 報告(映写活動・予定)
  • 会員ふれあいメール 穏やかにそして謙虚な気持ちで 村田裕子

発行「16ミリ試写室だより」No.126

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

16ミリ試写室だより

No.126 令和4年9月25日「16ミリ試写室だより」

  • 響き渡る心を込めた演奏に涙! 上映会を終えて
  • ─風─脈動する歴史に参加する生き方〜もて余す表現者の業〜 映画プロジューサー 矢間秀次郎
  • 映画会情報
  • 戻ってきた?! 「どこでも素敵な映画館活動」
     人生最後の日々を楽しく生きるには
     心地好い海風に吹かれて 野外映画観賞会
     静か~に観賞! 「ペット2」
     子どもたちとの交流を楽しむ
     マットの上でゆったり観賞
     100回目を迎えた 子ども映画会
  • 映写活動 6月~9月 18回・参加者1,231人
  • 予定
  • 会員ふれあいメール 半世紀を共に過ごした連れ合いとの別れ 古橋康子

【報告】有料上映会 映画「地球交響曲 第九番」上映と鈴木慶江ミニ・コンサート

2022年9月17日(土曜日)横須賀市 文化会館大ホールにて、『映画「地球交響曲 第九番」上映と鈴木慶江ミニ・コンサート』を開催しました。

映画「地球交響曲 第九番」上映と鈴木慶江ミニ・コンサート
一瞬マスクをはずしての記念撮影
16ミリ試写室と鈴木慶江さん
久しぶりの再会に喜びあう16ミリ試写室メンバーと鈴木慶江さん
鈴木慶江ミニ・コンサート
第1部 鈴木慶江ミニ・コンサート
満席の会場
満席の会場

響き渡る心を込めた演奏に涙! 上映会を終えて

お天気にも恵まれた9月17日、横須賀市文化会館大ホールで、ソプラノ歌手鈴木慶江さんを迎えて、ミニ・コンサートと映画「地球交響曲第九番」とのコラボによる第32回有料上映会を開催。700人弱の来場者で賑わい、心に響く上映会を静かに楽しんだ。

会が2001年に始めた有料上映会の1回目の作品が龍村仁監督「地球交響曲第一番」。以来、作品が公開される度に横須賀上映会を開催。2007年には、市制100周年市民主催事業で「第六番」と鈴木慶江ミニ・コンサートを実施。以後映画とコンサートは4回目。

第1部のコンサートでは、急遽参加のピアニスト河原忠之氏との息の合った舞台で、「地球交響曲」シリーズでの楽曲カッチーニのアヴェ・マリアをはじめ、アヴェ・マリア3曲やオペラのアリア等々、会場に響きわたる魂のこもった歌声とトーク、さらにピアノ・ソロの「赤とんぼ変奏曲」とトークに包まれた心に浸みる舞台は、30分のオーバーで終了となった。

第2部ではシリーズ最終章「地球交響曲第九番」の上映。「すべての生命は音から生まれ、音に還ってゆく」をテーマに、指揮者小林研一郎の音楽とのかかわりを柱に、ベートーヴェンの「第九」への熱き思いや激しく優しい演奏活動を、美しい自然映像や音楽を背景に本庶佑らのメッセージを描いていた。ガイヤの声を心で感じたのではないだろうか?「感動した!」「よかった」「素晴らしかった!」「コバケンの第9が凄い!」と多くの来場者に声を掛けられ、無事終了した。

アンケート集計データから、来場者の多くが女性、70才以上、ほぼ半数がリピーターだ。多くが第1部の舞台に感動し・嬉しく・素晴らしく・亡き人を思い涙し、しびれ、鳥肌が立った、また心が洗われ・元気をもらい、参加してよかったと。さらにピアノが素晴らしいの声も多かった。
慌ただしく後片づけを終え心地よい疲れを感じながら、散会となった。なお、ウクライナ復興支援募金箱には義援金78,968円が集まった、温かな心に感謝!

16ミリ試写室だよりNo.126より