発行「16ミリ試写室だより」No.134

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

16ミリ試写室だより

No.134 令和7年6月1日「16ミリ試写室だより」

「荒野に希望の灯をともす」上映会を終えて

2025年4月20日(日)、文化会館大ホールで、恒例の有料上映会で日本電波ニュースのカメラマン谷津賢二監督を迎えて、既に10万人以上の観客を動員しドキュメンタリー映画として大ヒット中の映画 劇場版「荒野に希望の灯をともす」の上映とトークを開催した。会場は久し振りに取り組んだ午前の部と午後の部に 併せて1496人にご参加いただき、賑わった。

司会をする代表の松澤

今回の映画は、2022年公開の医師中村哲の壮絶な生き様を描くヒューマンドキュメンタリー作品で、アフガニスタン・パキスタンで現地住民に寄り添い、命がけで医療活動や用水路建設活動に挑んだ医師中村哲の35年にわたる素晴らしい活動と残された中村医師の数々の言葉も描いていた。

上映後に中村医師の活動を20数年にわたり記録し続けたカメラマン谷津賢二監督のトークがあり、映画には描ききれなかった小柄で口数の少ない中村医師の豊かなお人柄や秘めた信念、思いがけないエピソードなどを丁寧に分り易く話された。

登壇する谷津賢二監督
谷津賢二監督

回収率23.9%で334枚のアンケート集計によると、既に中村医師の素晴らしい業績を知り、強い関心を持って参加した方と、この上映会で初めて中村医師の生き様を知った方の双方ともが、既に教科書にも載る中村哲医師の生き様を追ったこの映画を通し、「中村医師の生き様を深く知ることができた」「生き方や活動に感動・感激した」と、そして「今後の生き方を考えさせられた」「ささやかでも社会のお役に立ちたい!」と寄せていた。
さらに谷津監督のトークで「中村医師をより一層深く理解できた」と、映画ともども回答者のほぼ100%が「よかった」と評価下さった。

会場に設置したペシャワール会活動支援募金箱には、634,246円が集まった。さらに、チケット料金から活動支援金115,050円を加え、総額749,296円をペシャワール会に、また、チケット料金から市内2か所の児童養護施設に寄付金115,050円(@57,525円×2)をそれぞれ届けた。

16ミリ試写室集合写真

【有料上映会】ドキュメンタリー映画『荒野に希望の灯をともす』上映と谷津賢二監督のトーク(2025.4/20)

公式サイト「荒野に希望の灯をともす」

谷津 賢二監督のfacebookページ

ペシャワール会
中村哲医師のパキスタンでの医療活動を支援する目的で結成された国際NGO(NPO)団体

映画『荒野に希望の灯をともす』の監督、谷津 賢二氏より

2025年4月20日(日)、横須賀市文化会館大ホールでおこなわれた、ドキュメンタリー映画『荒野に希望の灯をともす』の監督谷津賢二さんより、メッセージエッセーをいただきました。

No.134 令和7年6月1日「16ミリ試写室だより」掲載

義の人、中村哲医師が私たちに遺したもの

映画監督 谷津 賢二

横須賀市文化会館での上映会にて「劇場版 荒野に希望の灯をともす」を観てくださった皆さまへ、改めて御礼を申し上げます。中村医師の温かく鮮烈な生き様が、人を励ます力があるからこそ、沢山の方々が観て下さったのだと思います。

では、中村医師のどんな生き様が皆さんを励ますのか? 私はこんなふうに考えます。中村医師の生き様は人が根源的に持つ「良心」を目覚めさせる力があるからだと。人は誰もが「良心」を持って生まれてくる。しかし、育った時代や環境など様々な要因で、「良心」は蓋をされ閉ざされてしまっている。そんな中で、自身の良心に従い他者のために働き、他者のために命を落とした、中村医師の鮮烈な生き様が、心の奥の「良心」の蓋を開けてくれるからだと思うのです。

私は取材者として21年にわたって、中村医師を見つめ続けました。そんな私が最も惹かれた中村医師の生きる姿勢、それはこんなことでした。民族も宗教も文化も違う人々から中村医師は強く敬愛されました。そして、民族も宗教も文化も違う人々を中村医師は深く慈しみました。両者の間には目には見えない、そしてカメラにも写らない、温かく強い絆がありました。ではなぜそんな絆を持つことが出来たのか。

中村医師は民族や宗教や文化の違いを越えて、人として一致できる「大切なもの」がある、と社会や人間を見る人でした。その「大切なもの」とはなんだったのか。それは「真心、良心、希望、平和…」こうした誰もが認めるものだったと思うのです。いま世界でも日本でも人の心が不寛容になり「真心、良心、希望、平和」などと言えば、あなたは頭がお花畑なのか、などと揶揄されます。そんな中でこうした「大切なもの」をじっと守りながら一歩一歩、歩んだのが中村医師だったと思うのです。

いま世界を社会に溢れる差別やヘイト、その行き着く先が、戦争なのだと思います。それぞれの民族や国、社会にはさまざまな違いがあることは当たり前です。こうした不穏な世界の中を私たちはどの道を進むべきなのか。中村医師の温かく鮮烈な生き様が進むべき道を示していると感じています。

谷津賢二さんと、中村哲医師
谷津賢二監督と、中村哲医師

映画「食の安全を守る人々」上映会を終えて

好天に恵まれた暖かな11月24日(日)、種々のイベントで大賑わいの横須賀市文化会館、その大ホールに、久しぶりに原村政樹監督を迎えて、“食”をテーマに映画「食の安全を守る人々~未来の子どもたちのために安全な食を」上映と監督のトークを開催した。会場には幼児や高校生を含めて300人ほどの来場者が静かに開映を待った。

映写リハーサル
ロビーにて
会場外に並ぶ観客
映画「食の安全を守る人々」会場ホワイエ風景

今、食をめぐり、地球規模で起きている最先端の問題を描く2021年公開のこの映画は、未来のこどもたちに安全な食を届けたいとの願いの下、原村政樹監督とプロデューサー山田正彦氏が取り組んだ作品だ。残留農薬等が問題視され、僅かでも乳幼児の脳に有害と言われている除草剤「ラウンドアップ(主成分グリホサート)」や殺虫剤「ネオニコチノイド系殺虫剤」の恐ろしさ、さらに「遺伝子組み換え食物」や「ゲノム編集の食物」とは?とその安全性を分かり易く描き、子どもたちのために「オーガニック作物」を使用する学校給食の実例を紹介していた。上映後の原村監督のトークでは、「暖かな映画」づくりを目指したこと、完成試写会に大手マスコミはほぼ欠席だったこと、映画館では、全く知らなかった!と笑顔で帰る人が多かったなどを話した後、日本の農業や農政の現状やオーガニック食品の価格、映画公開後オーガニックの学校給食に取り組む自治体がかなり増えて、オーガニック食物を作る農家も増えたこと等、参加者からの活発な質問にも丁寧に答えて50分余りのトークが終わった。

原村政樹監督のトーク

アンケート集計(回収率33%)から、映画、トークとも「よかった」とほぼ全員が評価。「知らなかった」「大切な食について学ぶことが多かった」「関心があり学んだことを確認できた」「韓国の無償、オーガニック給食制度は凄い」等、多くの感想や意見が寄せられた。
上映後に帰る参加者が少なく、食に関心のある熱心な方々に真実をお知らせできた上映会に、心から感謝したい。ご来場下さった前回の映画「生きる」の寺田監督にも参加いただき、久しぶりの楽しい交流会で一日が終わった。会では映画に登場した「千葉県いすみ市」を訪ねたいと企画中、楽しみだ。

記念撮影

なお、今回も市内児童養護施設2か所にチャリティ総額34,000円を、また場内設置募金箱の32,881円を、日赤をとおし「能登大震災・豪雨復興支援」に届けた。

【有料上映会】ドキュメンタリー映画『食の安全を守る人々』上映と原村政樹監督のトーク(2024.11/24)

『食の安全を守る人々』公式サイト(きろくびと)

原村政樹監督の新作「山里は持続可能な世界だった」

発行「16ミリ試写室だより」No.133

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

16ミリ試写室だより

No.133 令和7年1月25日「16ミリ試写室だより」

  • 映画「荒野に希望の灯をともす」 上映と谷津賢二監督のトークのお誘い
  • ─風─ 老人ホームの映画会
    社会福祉法人恵徳会 理事長 五十嵐 直子
  • 映画会情報
    映画「食の安全を守る人々」上映会を終えて
    “来年度もね”湘南鷹取台マンション映画会
    素敵な一日をいただいたクリスマス映画会
    県営津久井浜団地集会所のクリスマス上映会
    知ること・つなぐこと 横須賀市中央図書館 館長 柿原美奈
  • 運営だより
    立ち止まって、会の進む方向を話し合う
  • 報告(映写活動・予定)
  • 会員ふれあいメール 毎朝テレビ体操に励んで 小林榮子
  • 有料上映会の PR 活動とのたろんフェア 2025 参加

恵徳苑の理事長、五十嵐直子さんより

横須賀、日の出町にある特別養護老人ホーム 恵徳苑の理事長、五十嵐直子さんからメッセージをいただきました。

No.133 令和7年1月25日発行「16ミリ試写室だより」掲載

老人ホームの映画会

社会福祉法人恵徳会 理事長 五十嵐 直子

特別養護老人ホーム恵徳苑に介護職員として働き始めた21歳の私は、入居者や先輩職員、地域の方々との出会いから様々なことを学びました。当時は介護保険制度が始まる10年ほど前の時代でしたので、入居者の身体状況や介護内容、高齢者理解を含めた恵徳苑を取り巻く状況は現在とはだいぶ違っていて、今より比較的自立度が高めの方々が入居されていたこともあり、時には車でお芋堀に出かけたり、温泉に一泊旅行をしたこともありました。しかし、日常的には施設の中で、顔なじみの入居者、職員との閉ざされたコミュニティでの生活は単調になりがちで、地域のボランティア活動をされている方々の訪問は入居者の楽しみのひとつとなっていました。日本舞踊、歌謡ショウ、マジックなど多種多様な訪問に癒されていました。中でも楽しみにしていた訪問は16ミリ試写室の映画会でした。いつもは食事をするその場所は、暗幕を締め映写機が設置されるとあっという間に映画館となり、映像を真剣に見入って笑ったり、涙したり、隣の人と小声でささやいたりしながらひと時を楽しみ、見終わった後もしばし映画の話題で盛り上がったものでした。
あれから30年以上が過ぎ、恵徳苑は逸見から横須賀中央へ移転し、全室個室に様変わり広い交流スペースでボランティアさんの訪問を楽しむことができます。45周年を迎えた恵徳苑の介護現場でもデジタル化の波が押し寄せています。しかし開苑当初から変わらぬスタイルでときに映写機のご機嫌が悪くなるハプニングもありながら、16ミリフィルムが回る音を心地よく聞きながら臨場感のある映画を楽しむことができる入居者は、とても幸せで最高の贅沢をしているのではないかと思います。
これからも入居者の癒しのひと時を提供してくださることを大いに期待しています。

「社会福祉法人恵徳会」のホームページ

発行「16ミリ試写室だより」No.132

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

16ミリ試写室だより

No.132 令和6年9月10日「16ミリ試写室だより」

  • 映画「食の安全を守る人々〜未来の子どもたちのために」
    上映と原村政樹監督のトークのお誘い
  • ─風─ エッセイ「遊びに来ませんか? スタジオへ」
    FMブルー湘南パーソナリティー 灯織(ひおり)
  • 映画情報
    この夏の「どこでも素敵な映画館活動」
    毎月開催される市図書館ならではの映画会
    会場の頑張れコールに励まされた野外映画会
    ワクワク・ドキドキの久里浜ファミリー映画会
    地域社会で続く温かな子ども映画会
    大津シネマ座飛び入り参加の監督トークも
    平和や命の大切さ伝えたこども映画会
    子どもたちと対話ですすめた映画会
    子ども会で初めて取り組んだアニメ鑑賞会
  • 運営だより
    16ミリ映写機操作技術おさらい会
  • 報告(映写活動・予定)
  • 会員ふれあいメール「生活習慣見直し 前向きに楽しく活動」清水千代
  • 不慣れなスマホ操作を楽しく学ぶ

FMブルー湘南パーソナリティー 灯織(ひおり)さんより

ボーカリストとして音楽活動を主軸に、イベント・式典・コンサートなどのMCをはじめ、ナレーターとしてCMや動画のナレーションなど、多岐に活躍されています。FMブルー湘南パーソナリティー 灯織(ひおり)さんよりメッセージエッセイをいただきました。

No.132 令和6年9月10日発行「16ミリ試写室だより」掲載

「遊びに来ませんか? スタジオへ」

FMブルー湘南パーソナリティー 灯織(ひおり)

16ミリ試写室さんが、私の番組に上映会の案内でご出演いただくようになって何年でしょうか?

FMブルー湘南は2024年12月3日に、お陰様で開局30周年を迎えますが、16ミリ試写室さんは1977年に発足されたと伺いますから、常に私たちの17年も前を歩んでいる大先輩です。

ご縁があり、開局からパーソナリティーを30年間務めている私ですが、本来は飽きっぽい性格で、何か一つのことを継続するのはとても苦手です。なので一度は証券会社に就職したのですが、3年ほどで窮屈になり、アルバイトを掛け持ちの後にヤマハの認定試験を受け、ボカル講師として仕事をするようになりました。私は劣等生の講師でしたから、歌を教えるというより人と向き合うことが面白く、たくさんの出会いもあり20年以上続けることができました。ラジオの仕事は、父が募集記事を見つけて知らせてくれたことがきっかけで、未経験でしたが採用となり、しばらくはボーカル講師とラジオパーソナリティーの二足の草鞋で日々バタバタとしていました。ただ、2011年の東日本大震災はとてもショッキングな出来事で、自分を見つめ直すきっかけにもなり、そのタイミングで教える仕事を引退させていただき今に至ります。今改めて自分のことを振り返ってみると、私は人のご縁にとても恵まれそのおかげで今があるのだと実感します。

16ミリ試写室さんもご出演くださる「遊びに来ませんかスタジオへ」は開局から続くインタビュー番組で、平日の午後3時から30分間放送しています。有名無名関係なく様々な方がご出演くださいました。スタジオにお越しいただきインタビューをするというスタイルは、今となってはとてもアナログに感じますが、向かい合って話すからこそ感じられる熱意を、私はこれからも楽しみながらお伝えしていきたいと思っています。

ユニークな人、尊敬できる人とお話できるのは、いつも新鮮で楽しいのです。

灯織さんのYoutubeチャンネル

ドキュメンタリー映画「生きる」上映会を終えて

横須賀文化会館 映画『「生きる」大川小学校津波裁判を闘った人たち』の上映にて、遺族・弁護士・映画監督のトーク

例年になく遅い桜吹雪の4月14日、横須賀市文化会館大ホールに、原告遺族・弁護士・映画監督のトークゲスト3人を迎えて、映画「生きる」大川小学校津波裁判を闘った人たちの上映とトークを開催した。

手話通訳
要約筆記

映画「生きる」がHELLO! MOVIE(ハロームービー)対応の作品であったことから、市福祉部障害課のご支援で、PC要約筆記と手話通訳の協力が得られ、初の完全バリアフリー上映会となった。会場には視聴覚障害者はじめその関係者等30人以上の参加もあって、900人ほどの来場者で大賑わい。

ホワイエにてサイン会

映画は、2023年公開、本年1月毎日映画コンクールでドキュメンタリー映画賞受賞の話題作。東日本大震災で津波にのまれた大川小学校では全児童の7割の74人が亡くなった。この惨事を引き起こした事実、理由を知りたいと願った親たちは、理不尽な対応の市と県に国家賠償を求めて提訴。弁護士2人の弁護団で、原告遺族は社会の誹謗中傷はじめ苦難を乗り越え、「画期的」な判決「子どもの最後の場が学校であってはならない」を勝ち取る、10年にわたり闘った親たちの活動や熱き思いを描いていた。上映後、寺田監督の素晴しい司会で、原告遺族で5年生の次女を亡くされた紫桃隆洋さん、斎藤弁護士による震災時の現場様子やそれからの話に聞き入った。

アンケート集計(回答率20%)から、回答者の約80%が女性、約50%がリピーター、山梨、新潟などからの参加もあった。映画とトークともにほぼ100%の回答者が「良かった」と評価。多くが、「津波災害の現状・事実・真実がよく分かった」「諦めず子を思う遺族の親心に感動、共感した」と。そして、弁護士の国家賠償に関する法律の話が分かり易く、日常の避難訓練や災害に対する行政、組織等の取り組み方などを、改めて考えるきっかけとなったという。
今、秋谷在住の来場者が、9月、逗子市でこの「生きる」上映会の開催を企画中だ。ぜひ応援したい。
なお、今回も市内児童養護施設2か所にはチャリティ総額9万円、また場内設置募金箱の96,018円の中、50,000円を「3.11を考える会」に、残額46,018円を日赤をとおし「能登大震災復興支援」に届けた。

開場前にて記念撮影

関連リンク

メッセージエッセイをいただきました。
映画「生きる」の監督、寺田和弘さんより

【有料上映会】ドキュメンタリー映画『「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たち』上映と遺族・弁護士・映画監督のトーク(2024.4/14)

書籍『水底を掬う ― 大川小学校津波被災事件に学ぶ』著者 河上正二 吉岡和弘 齋藤雅弘

映画『「生きる」大川小学校津波裁判を闘った人たち』

映画「生きる」の監督、寺田和弘さんより

2024年4月14日(土曜日)横須賀市文化会館大ホールでおこなわれた、ドキュメンタリー映画『「生きる」大川小学校津波裁判を闘った人たち』の監督、寺田 和弘さんより、メッセージエッセイをいただきました。

No.131 令和6年6月25日発行「16ミリ試写室だより」掲載

忘れられない日

記録・ドキュメンタリー映画監督 寺田 和弘

春という表現がそのままあてはまる青空のもと、横須賀中央駅から会場まで、緩やかな坂道を登るにつれ、不安が募っていきました。こんなに天気がいい日に、来てくれる方はどれぐらいいるのだろうと。そして横須賀市文化会館に到着して…目を疑いました。大勢の方が列をなして開場を待ってくださり、入口には大きな手作りの看板が!不安な思いは吹き飛んで、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

開場を待つお客様の列 横須賀文化会館前

「生きる」大川小学校津波裁判を闘った人たちは、東日本大震災関連の映画はヒットしないという業界の通説を打ち破り、映画館での観客動員数は2万人を超えました。しかし、それでもまだ「観る勇気がない」という声がたくさん聞こえてきます。観てくださった方がお友達を誘ってくれることで、少しずつ輪が広がるように観客数が増えていく、というのがこの作品の特徴で、一つの会場に大勢の方が集まるということは、これまでほとんどありませんでした。850人もの方に観ていただけるとは…忘れることができない日になりました。

遺族にとって2011年3月11日は忘れることのない、そして翌日からの地獄の日々も忘れることができない、ということは原告遺族の紫桃隆洋さんの話を会場で聴いていただいた方々には理解していただけたと思います。映画では描けていない光景を聞き、驚かれたかも知れません。しかし、それが現実でした。だからこそ、裁判を闘った遺族は「二度と同じ悲劇を繰り返してはならない」との思いで裁判後も活動しています。しかし、その一方で、裁判でその責任が認定された行政、教育委員会は、未だに「遺族の声」を聴こうとはしていません。

こうした中でも、遺族の方々は時間を見つけては廃校となった大川小学校で「語り部」を続けています。大川小学校は石巻の中心街からかなり離れています。公共交通機関もありません。ですが、もし機会があればぜひ大川小学校に来てください。みなさんとの再会を楽しみにしています!


寺田和弘監督のSNS
https://twitter.com/PH9BQVlcewIPKgD


大川伝承の会(facebook)
https://www.facebook.com/ookawadensyo/

小さな命のいいを考える会| 震災遺構大川小学校ガイド
http://311chiisanainochi.org/?page_id=6186