映画「霧幻鉄道」の監督、安孫子亘さんより

2023年11月11日(土曜日)横須賀市文化会館大ホールでおこなわれた、ドキュメンタリー映画「霧幻鉄道」の監督、安孫子亘(あびこ わたる)さんより、メッセージエッセイをいただきました。

No.128 令和5年4月15日発行「16ミリ試写室だより」掲載


今から46年前

映画監督 安孫子 亘

いまから46年まえは昭和52年(1977年)。横田めぐみさんが新潟市で北朝鮮に拉致された年。そして青酸コーラ無差別殺人事件やエルビス・プレスリーやチャップリンが亡くなった年。そして「16ミリ試写室」が発足した輝かしい年なのである。

「お母さんの16ミリ教室」で映写機操作を学び、長年フィルムと一緒に横須賀の街をグルグル廻ってきたその団体がドキュメンタリー映画「霧幻鉄道」を呼んでくれた。主題曲のフルーティスト山形由美さんと音楽担当のDAIJIさんの生演奏で華を添えてくれ、大きなホールを満杯にする「16ミリ試写室」のチカラに地域との信頼を強く強く感じた。

映画の主人公も30年以上に渡り奥会津の風景と只見線だけを撮り続け、その宝がやっと輝き始めた物語だが。やり続けることの原動力こそが全ての礎になっていると強く感じる。ゴールは無くていい。年齢も考えなくていい。ひたすら次の目標を立てて進むことが、すべてのエネルギーになっていくことをこの映画制作を通して感じる。あとどれくらい出来るか? 残りどれくらいだろう? なんて考えた時からすべては終わる。次の目標までどうやって楽しもうか? そして、また新たな一年をどう楽しもうか。また「16ミリ試写室」のエネルギッシュなスタッフの皆様に会うために、そして今遺さなければいけない物語を皆さんに知ってもらうためにいい作品を創りたいと思います。

【令和6年能登半島地震】日本人にとって特別な日にまさかの悲劇が襲った。被災されたすべての方々にお見舞い申し上げると共に、被災者への世間の関心はニュースから消えた時から忘れ去られるのも現実であることが悲しい。
今年公開となる新作映画「決断 運命を変えた3.11母子避難」はそんな避難者の壮絶な苦悩を描いた作品である。避難者の出ない暮らし、そして避難者になった場合の手厚い支援をもっと充実させなければ、この「災害列島」で生き抜く事は困難であることを伝えたい。

ドキュメンタリー映画「決断」予告編

映画監督・映像作家 安孫子亘(あびこ わたる)プロフィール | ミルフィルム