16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

No.125 令和4年6月15日「16ミリ試写室だより」
- 映画「戦争と青春」有料上映会を終えて、今、平和についてみんなで考えよう!
- ─風─ 最期の講演会 映像編集者 早乙女愛
- 映画会情報
- 報告(映写活動 3月から5月 17回 参加者869人)
- 予定
- 会員ふれあいメール 第2ステージ元気で!楽しく!! 森裕子
16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。
No.125 令和4年6月15日「16ミリ試写室だより」
2022年4月16日(土曜日)横須賀市 文化会館大ホールにて、映画「戦争と青春」の上映と、早乙女愛 氏のお話を開催しました。
この映画会からのお誘いは、さかのぼること2年前。新型コロナウィルスによる延期、延期で、いよいよと思っていたところ、わたくし自身が病に伏せる身となってしまいました。みなさまに直接語りかけることができず、たいへん残念に思います。
多いときで年間100回以上の講演をこなしてきたわたくしですが、講演をお休みするのは生涯初めてのことです。この映画会をたいへん楽しみにしており、入院中もわたしなりに勉強をしようと準備をしておりました。ところが病院のテレビで、ロシアがウクライナへ侵攻したことを知り、がくぜんとしました。
上映してくださる映画『戦争と青春』は、1945年3月10日の夜を逃げまどう女性や子どもの姿がリアルに描かれています。当時12歳だったわたくしは、一般民間人の被害を語りつづけて、とうとう90歳になりました。それでも、語り尽くしたとは到底思えません。
それなのに、次の戦争がはじまってしまいました。双方の国は、血みどろの戦いを繰りひろげ、子どもも女性も右往左往して、深刻な状態を引き起こしています。多くの国民が逃げてさまよう姿を、目の前で見ているように感じます。
約80年前にも、累々とした死体が東京下町地区を埋め尽くしました。あの日、あのとき、同じ場所で、多くの人々が帰らぬ人となったのです。今起こっている戦争も、80年、いやそれ以上、何世代にもわたって悲しみがつづくことになります。
かつて、私たちの国で起きた悲惨な光景をけっして忘れず、そして、どの人の命も軽んじられてはならないことを学ぶ。この映画会が、その大事な機会になりますように。
早乙女 勝元
当初ゲストには、原作者である早乙女勝元氏を予定しておりましたが、早乙女勝元 氏が体調を崩され療養中であることから、長女で映像編集者の早乙女愛 氏にお話をしていただくことになりました。
当時の貴重な写真や資料を見ながら、東京大空襲のこと、原作者、早乙女勝元の足跡と、映画「戦争と青春」が作られた時代背景や今井正監督との映画づくり裏話について、また、これからも太平洋戦争で被災された民の声を継承していくことの大切さをお話ししていただきました。最後に勝元氏が長く館長をされた東京大空襲・戦災資料センターのご紹介もあって終りました。会ではこのセンターにチャリティ金額72,450円を送金いたします。
また、ウクライナ支援募金箱には、68,351円が集まりました。こちらは、日本赤十字社にウクライナ支援として、5月上旬にお渡しする予定です。
第31回有料上映会 映画「戦争と青春」2022年4月16日(土)にて、上映後には、原作者 早乙女勝元氏によるお話を予定しておりましたが、勝元氏が体調を崩され、加療中のため、早乙女愛氏にお話をしていただくことになりました。
Ai SAOTOME
プロデューサー・映像編集者
1972年 東京生まれ。同志社大学文学部哲学及倫理学専攻卒業。
2001年、中米コスタリカを舞台にしたドキュメンタリー映画『軍隊をすてた国』(山本洋子監督)を初プロデュース。映像制作会社を設立後、PV、テレビ番組、映画、展示映像へ 撮影技術を提供。
2015年、東京大空襲証言映像マップの制作において第 19 回文化庁メディア芸術祭エンタ ーテインメント部門審査委員会推薦作品受賞。
2020年より舞踊・演劇など舞台芸術のマルチ編集と、映像配信事業を展開。
著書に『海に沈んだ対馬丸』(岩波ジュニア新書)ほか、映画評を多数執筆。 東京大空襲・戦災資料センターにて証言映像作品を常設展示中。
有限会社記録同人代表。https://vimeo.com/goldenrecord
2022年4月16日(土曜日)開場13:00 開演13:30
横須賀市 文化会館 大ホール
16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。
No.124 令和4年3月1日発行「16ミリ試写室だより」
新型コロナウイルス感染蔓延防止に、ご協力ください。
※本上映会の内容は変更する場合があります。あらかじめご了承ください。
【お知らせ】ゲストにつきまして(2022.4/10)
上映後に、原作者 早乙女勝元氏によるお話を予定しておりましたが、勝元氏が体調を崩されて加療中のため、早乙女愛氏にお話をしていただくことになりました。
早乙女愛プロフィールも併せてご覧ください。
映画「戦争と青春」上映 112分
原作・脚本 早乙女勝元氏のお話(60分)
ゲスト:
早乙女勝元
開催日:2022年4月16日(土曜日)開場13:00 開演13:30
会場:横須賀市 文化会館 大ホール
〒238-0016 神奈川県横須賀市深田台50
京急線「横須賀中央駅」下車 徒歩10分
チケット料金:1200円(前売り1000円)
チケット販売:
横須賀市文化会館 ☎046-823-2951
品川文化堂(大滝町)☎046-823-1848
井出新聞店(衣笠栄町)☎︎046-851-0235
アナザワフォト(追浜駅前)☎︎046-865-9963
早乙女 勝元(さおとめ かつもと)
原作・脚本
1932年、東京生まれ。12歳で東京大空襲を体験。働きながら文学を志し、18歳で書いた『下町の故郷』が直木賞候補に推される。1956年、『ハモニカ工場』発表後は作家に専念し、『美しい橋』『秘密』をはじめ、数々の小説が東宝、松竹、東映で映画化される。1970年、「東京空襲を記録する会」を結成し、都民の空襲体験記を編纂した『東京大空襲・戦災誌』が菊池寛賞を受賞。ルポルタージュ『東京大空襲』がベストセラーになる。2002年、江東区北砂に「東京大空襲・戦災資料センター」を開設、2019年まで館長をつとめる。主な作品に『早乙女勝元自選集』(全12巻)『蛍の唄』『アンネ・フランク』、絵本『ベトナムのダーちゃん』『猫は生きている』。小説、記録文学、絵本、映画、アニメの分野で戦争を伝えつづけ、2021年、幼児向けに書き下ろした紙芝居『三月十日のやくそく』で高橋五山賞を受賞。
今井 正(いまいただし)1912 – 1991
監督
映画監督。明治45年1月8日、東京生まれ。1939年、『沼津兵学校』で監督デビュー。第二次世界大戦中は戦意高揚映画も撮るが、戦後は民主主義啓蒙路線に転向し、『民衆の敵』(1946)、石坂洋次郎原作の青春映画『青い山脈』(1949)が大ヒットした。続く『また逢う日まで』(1950)で高い評価を得る。1951年の『どっこい生きてる』、沖縄戦の悲劇を描く『ひめゆりの塔』(1953)、『にごりえ』(1953)、『ここに泉あり』(1955)、『真昼の暗黒』(1956)、『米』(1957)、『キクとイサム』(1959)などを発表、多くの賞を獲得した。平成3年11月22日、死去。享年79歳。『戦争と青春』(1991)は遺作となった。
※このプロフィールは、『日本大百科全書』坂尻昌平氏の文章を引用させていただきました。
現代の一人の女子高生が夏休みの課題で、家族の空襲体験を聞くことで戦争の悲惨さ、生命の尊さを学んでいくという物語。 舞台は東京のある下町。そこで細々ながらも平和に暮らす「花房モータース」の主人・花房勇太は、娘ゆかりの質問に口を開こうとしない。そんなある日、ゆかりの伯母にあたる勇太の姉、清原咲子が、町の焼け焦げの電柱横の道路に飛び出した子供を救おうとして、交通事故にあう。「螢子、ケイコ、あぶない!」とさけびながら…。 螢子とは空襲で生き別れになった伯母の娘だった。そこでようやくロを開いた父の話から、伯母の過去の傷痕が語られる。戦争中、伯母は弟(勇太)の担任だった教師・風見和夫と恋に落ちる。その愛を育む間もなく風見に招集令状が届く。しかし風見は徴兵を忌避し、北海道に逃亡する中で、非業の死を遂げる。 伯母は風見の子を身ごもり産むが、3月10日の空襲の混乱の中で子供と生き別れになってしまう。それから45年、伯母はいつも、子供と別れた「焼け焦げの電柱」の前で待ち続けていた。そんな折、朝鮮(韓国)から、李順益(イ・スニク)が一目自分を生んだ母親に会いたいと成田空港に降り立つ。自分は赤ん坊のとき、空襲の中で母の手からはぐれ、朝鮮の人に救われ育てられたという。ゆかりは李順益の姿に、伯母の姿をダブらせるが…。
主催:16 ミリ試写室
共催:横須賀市教育委員会
後援:
横須賀市
(公財) 横須賀市生涯学習財団
(福) 横須賀市社会福祉協議会
30回目の有料上映会で、私たちが登場する映画を上映
横須賀市にもコロナ禍により「まん延防止等重点措置」が出ている状況下の2021年5月9日(日)、十数年交流を重ねて来た森田惠子監督の2018年公開ドキュメンタリー映画「まわる映写機 めぐる人生」(110分)は、まなびかん大学習室に70人の参加者を迎えての上映会となった。
この作品には映画をアナログ映写機で映すことに情熱を注いだ11人が紹介され、その中に、当会も「上映活動を通して学び続ける女性たち」として登場する。
この作品の横須賀上映会開催を模索していた活動自粛の昨年、監督が突然体調を崩され闘病されておられると聞き、上映活動を通して監督にエールを届けようと急遽企画し開催を決めた。しかし、監督は4月下旬、享年68で帰らぬ人となられ、好評を得たこの横須賀上映会を報告できなかったことが残念でならない。お元気な監督を迎えて開催できなかったことが悔やまれてならない。
当日のアンケート集計(回収率76%、リピーター77%)によると、映画が誕生して120年、映像がフィルムからデジタルに代わるこの時代に、活躍し続けた「まわる映写機」を支えた人たちの記録は参加者に目新しく、映画を映す裏方の苦労や映画の見方を改めて学び、共感していただけたようだ。また、会場で実施したコロナ感染症対策についても、ほとんどの参加者に安心いただけたことは嬉しく、大いに安堵した。
映画「まわる映写機 めぐる人生」ホームページ
https://www.projector-life.com/
当サイトの告知記事
【有料上映会】まわる映写機 めぐる人生(2021.5/9日)
https://y16miri.com/?p=728
参加の際は、会場での新型コロナウイルス感染蔓延防止対策にご協力ください。
第30回有料上映会
映画「まわる映写機 めぐる人生」の上映
開催日時:2021年5月9日(日)10:00〜(開場9:30)
開催場所:横須賀市生涯学習センター 大学習室(JR横須賀駅か、京急逸見駅から 徒歩5分)
チケット料金:500円 全席自由席
定員:100人
チケット販売
品川文化堂(大滝町)tel 046-823-1848
アナザワフォト(追浜駅前)tel 046-865-9963
平成30(2018)年8月に公開された森田恵子監督の映画「まわる映写機 めぐる人生」には、16ミリ試写室の活動が「上映活動を通して学び続ける女性たち」として紹介されています。
森田監督との出会いは2011年、「小さな町の小さな映画会」の試写会場。その後交流を重ねてきましたが、監督の作品を横須賀で上映する機会はありませんでした。そこで、新型コロナ禍の中ではありますが、誰もが映画館で映画を楽しんだ時代を懐かしく思い出していただけるこの作品の上映活動で、会員一同の監督への感謝と監督の活動再起を願ってエールを送りたいと思います。
上映作品は映画が誕生して120年、映画全盛期の体験を記録しなければとの森田監督の強い思いで製作された3部作の3作目。監督は1施設と10人のプロの映写技師、映写機修理技術者、映画館主、地域の映画製作者、自主上映活動家などの人々を掘り起し、映画とかかわりを写し出している。
この映画には、当会の松澤会長も登場し、会長インタビュー、子ども映画会活動風景、懐かしい小澤主事や先輩たちの写真等とともに監督の語りで的確にまとめられいる。これは会の40数年に亘る道程の大きな出来事でもあり、映画になった会の素晴らしい活動記録である。この幸運を下さった監督には「感謝」以外に言葉がない。(16ミリ試写室 記念誌「かがやきパートⅥ」P79~80参照)
「まわる映写機 めぐる人生」の公式ホームページでは、大林宣彦監督より「まわる映写機 めぐる人生」に向けてメッセージが掲載されています。ぜひご覧ください。
映画「まわる映写機 めぐる人生」ホームページ
https://www.projector-life.com/
参加の際は、会場での新型コロナウイルス感染蔓延防止対策にご協力ください。
主催:16ミリ試写室
共催後援:横須賀市教育委員会・横須賀市・ (公財)横須賀市生涯学習財団
16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。
No.120 令和2年11月1日発行「16ミリ試写室だより」
2020年9月19日、横須賀市文化会館大ホールでおこなわれた有料上映会、映画「よあけの焚き火」に主演された能楽師狂言方 大藏基誠氏よりメッセージをいただきました。
No.120 令和2年11月1日発行「16ミリ試写室だより」掲載
能楽師狂言方 大藏基誠
皆さんは、伝統と聞いて何を思い浮かべるでしょうか…私は室町時代から今に至るまでの約六百五十年間、狂言を伝え守る家系に産まれました。
幼少期から当たり前のように父に稽古をつけてもらい4歳で初舞台を踏み41歳の現在も舞台に立ち日本の文化の普及に努めています。幼稚園から小学校にあがるまで当時は、みんな狂言をやっている物だと思っていたくらいに日常に狂言がありました。狂言は、伝統芸能として広く知られていますが…僕にとっては、箸を持つ感覚と同じです。箸の持ち方は、親に教わり、また次の世代へと伝えて行く…これこそ伝統だと思っています。
以前「狂言に未来は、ありますか?」との御意見を頂きました。その時に息子が間髪いれずに「あります」と即答した時は、目頭が熱くなりました。「狂言に未来があるか?」正直僕にもわかりませんが未来の子供達が「狂言に未来があるか?」悩んでもらえるように残していきたいと思います。悩める事は有難い事で、狂言を残してくれたからこそ悩める題材だと思っています。
さて小さい頃に大事な言葉を教わりました。「おはよう御座います」の挨拶と人に何かをして頂いた時には「有難う」の感謝の気持ちを表す言葉、狂言を伝えてくれた先人達と親に「ありがとう」の感謝の気持ちをいつも持っています。
昨今ネットの普及率も高まり生活も豊かになってきていますが、はたして人間は、心から豊かになっているでしょうか?箸の持ち方もしかり…僕は狂言を通して伝統の温かさを皆さんと感じられたらと存じます。
関連リンク
大藏基誠(おおくら もとなり)公式サイト
狂言をカジュアルに楽しめる「狂言ラウンジ」の公演スケジュールなどもご覧いただけます。
昭和52年(1977年)発足の会は、平成29年(2017年)に40周年を迎えました。
6冊目の40周年記念誌「かがやきパートⅥ」づくりを計画し、平成30年度完成を目指して取り組んで参りました。しかし、編集作業は目先の日常活動に追われるなど休止状況となっておりましたところ、新型コロナウイルス感染症対策による活動の全面自粛に救われ、ようやく発刊の運びとなりました。
記念誌「かがやきパートⅥ」はかがやきパートⅤまでの記念誌を踏襲することとし、16ミリ試写室だよりにお寄せくださいました「風」のすてきなエッセイや11年間(平成21~31年)の活動の記録、さらに会員の想い出等を掲載しました。
この作業を通し改めて43年のあゆみを振り返り、懐かしさとともに元気もいただきました。
令和2年11月吉日
40周年記念編集委員会