発行「16ミリ試写室だより」No.115

16ミリ試写室だより

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

No.115 2019年4月20日発行「16ミリ試写室だより」

  • お誘い! ヒューマンドキュメンタリー映画会 映画「やさしくなあに」と伊勢真一監督のトーク
  • 「八重子のハミング」から優しい認知症介護を学ぶ
  • 会として申請が最後!の「ポイント制度」
  • 映画会情報
  • 映写活動に欠かせない試写会
  • 映画「よあけの焚き火」試写会に参加
  • ご協力に感謝! 募金総額 3,009,005円 10回の3.11チャリティ上映会が終る
  • 重複障害を負った脳外科医の社会復帰 よこすか片マヒ希望の会主催「希望フェスタ」
  • 風 どうして映画監督になったか… 映画監督 佐々部 清
  • 運営だより 最後の砦はやはり市中央図書館
  • 映写活動報告
  • 会員ふれあいメール 小学生の頃 永山初子
  • その他予定など

「八重子のハミング」映画監督 佐々部清氏より

2019年2月2日におこなわれた有料上映会、映画「八重子のハミング」の監督、佐々部清氏よりメッセージをいただきました。

No.115「16ミリ試写室だより」(2019年4月20日発行)掲載


どうして映画監督になったか…

映画監督 佐々部 清

「16ミリ試写室」なんて素敵な名前なのでしょう!
昭和52年に発足した会と伺いました。まもなく〝令和〟です。昭和〜平成、そして〝令和〟へ。3つの時代を繋ぐアマチュアの映画サークル。映画の業界で仕事をする身としては、感謝しかありえません。

リーダーの松澤さんを中心にされた方々が「日向読書会」という文学と映画を愛する会の夏合宿に参加され、そのときのゲスト・スピーカーが私だったことからご縁を頂戴しました。メンバーの皆さまは私よりも人生の先輩方、招聘していただいたことにも恐縮しました。本当にありがとうございます。そして今回の欠席、申し訳ありませんでした。

私が映画の世界に惹かれたのは中学生になった頃だったでしょうか。大阪万博が開催された1970年、劇場でリバイバル上映された『ウエスト・サイド物語』を観たのが切っ掛けでした。また、当時は毎日のようにTVの洋画劇場が放映されていて、古い外国映画に胸をときめかしておりました。一生映画を観て過ごせる職業を考え、淀川長治さんに「弟子にしてください」とファンレターを書いたこと、さらに淀川長治さんから「とにかく映画をたくさん観て、大学まで行って勉強しなさい」と返事が届いたことが映画の世界を目指すスタートになりました。当初は映画監督でなく映画評論家を目指したわけです。

大学に入学して出逢った仲間たちが、自主映画(8㎜フィルム)を作るという、私には思いも寄らぬことを言い出し、自分も8㎜カメラを購入して「ヨーイ、スタート!」とやり始めたことが映画監督を目指すことになってしまいました(笑)。
才能がない自分は、とにかくプロの世界に潜り込んで修行をするしかないと決め、助監督を18年やりました。その助監督時代に書いた脚本が、自作としては2本目の『チルソクの夏』です。これはもう、『ウエスト・サイド物語』へのオマージュのような作品です。いつか「16ミリ試写室」で上映してもらえると幸甚です。
その時こそは会場へ駆け付けたいと思います。

関連リンク

佐々部清オフィシャルページ http://sasabe-2.net

報告【16ミリ映画会】野口久光 シネマ・グラフィックス

16ミリ試写室では、ゲストをお招きした「映像とお話」を、年に3回開催しています。

2019年2月13日(水曜日)横須賀市立中央図書館でおこなわれた「16ミリ映画会」映像とお話は、「未完成交響楽」の上映と、横須賀美術館 学芸員 栗林陵氏をお招きしてお話をうかがいました。

1933年 ドイツ オーストリア作品の映画「未完成交響楽」は、作曲家シューベルトの青春と、名曲「交響曲第8番ロ短調<未完成>」の制作秘話を描いた美しくも切ない物語です。
斬新なカメラワークや美しい音楽は、80年以上も前に作られた映画とは思えないと会場からの声が多くありました。

映画「未完成交響楽」当時のポスターは、ヨーロッパ映画の日本版ポスターを手がけたグラフィックデザイナー野口久光による1000枚以上のポスターの中のひとつ。当時の映画ファンの思い出に残る一枚です。

映画上映後は、栗林陵氏に、野口久光が手がけたのポスター作品を、戦前と戦後の映画にまつわる日本の歴史とともに紹介していただきました。
栗林陵氏のお話
ポスターに欠かせないキャッチコピーのことを「惹句(じゃっく)」というんですね。
また、(スライドに、映画のポスター「フレンチ・カンカン」が表示され)
「映画を見たときに僕は、邦画の映画「フラガール」は、現代版「フレンチ・カンカン」だ。と思いました」
栗林氏のムーランルージュ=ハワイアンセンター説に、会場も なるほど〜という笑いがおきたり、映画鑑賞にくわえて楽しい時間となりました。

16ミリ試写室メンバーと栗林陵氏

ただいま開催中!
横須賀美術館「生誕110周年 野口久光 シネマ・グラフィックス」展
2019年2月9日(土)~3月31日(日)

映画見られます!
横須賀市立中央図書館の「視聴覚ライブラリ」では、ビデオなどの館外貸出やブース内視聴ができます。

開催の関連記事はこちら
横須賀美術館<コラボ>16ミリ試写室

【報告】有料上映会「八重子のハミング」

2019年2月2日(土曜日)横須賀市 文化会館 大ホールにて、映画「八重子のハミング」を上映しました。
有料上映会「八重子のハミング」

ホール入り口には開場を待つ方々の列ができ、大ホール1000席は、ほぼ満席となりました。
遠方からもたくさんのお客様がいらっしゃいました。

上映後、主演 升毅(ますたけし)さんが舞台に登場、若き映画プロデューサー野村展代さんが司会進行をしてくださり、撮影のときの話などで会場は大いに沸きました。「八重子のハミング」原作者の陽信孝(みなみのぶたか)さんの飛び入り参加に16ミリ試写室メンバーもびっくり! とても楽しい思い出の上映会となりました。

当日ご参加できなかった佐々部清監督からスペシャルメッセージをいただきました。

“16ミリ試写室”ってネーミングが素敵です。映画が大好きで、愛してくださっている方々をとても感じます。
声をかけて貰えたこと嬉しく、光栄でした。今回参加できずに残念です。
八重子のツービート、片割れの升毅さんが参加します。
映画の優しさに、俳優・升毅のやさしさに、どうぞ触れてください。
映画監督 佐々部清

なお、監督は2月22日(金)21:00 読売テレビ60周年ドラマ「約束のステージ」を撮影中。

開催の詳細:【有料上映会】八重子のハミング(2019/2/2)

「八重子のハミング」映画監督 佐々部清氏より


「八重子のハミング」から優しい認知症介護を学ぶ

10回目の3.11復興支援チャリティ額は166,832円

2月とは思えない温かなお天気に恵まれた2月2日(土)午後、市文化会館大ホールで、佐々部清脚本・監督作品「八重子のハミング」の上映と主演俳優升毅氏のトークショーを開催した。若年性認知症の介護がテーマで年配のご夫婦も目立ち、950人ほどの来場者で賑わい、混乱もなく無事終了した。

当初予定した監督はTV番組の撮影と重なり、初めて俳優の登壇となった。主演升毅さんのお蔭か、チケット販売も順調で、混雑を心配しながら当日を迎えた。縦看板の設置、活動展示、プログラム等の配布物折込の準備作業は順調に進んだが、肝心な舞台のスクリーンが下りないハプニング。12時過ぎようやく舞台が出来上がり、事なきを得たのも初体験。

映画は美しい萩を舞台に、現実的には大変でつらい認知症介護を、原作者の短歌を基に、妻の八重子が大好きな歌を共にハミングしながらの、認知症の妻に寄り添う夫の優しい介護として爽やかに描かれ、12年間の素晴らしい夫婦の純愛物語であった。上映後、監督とこの映画製作費集めに奔走された野村プロデュサーの司会による俳優升毅さんのトークには、8割ほどの観客が残り耳を傾けた。

気さくで話し上手な升さんから「初主演、実話の主人公役でかなりのプレッシャ―の中で撮影が始まった。初日の真夜中腹痛に襲われ、13日間のタイトのスケジュールの中で、紙おむつにお世話になった(会場から笑)。主演のきっかけは監督の前作品『群青色の、とおり道』の決まらず困っていた役を受けて初出演し、監督の自然な役を作り知り、今ではすっかり染まり佐々部ファミリーの一員に。芝居を始めて40年にして初主演、一生の宝物にしてこの映画とともに役者人生を送りたい」と伺った。このトークショーで、予告なく会場に現れた原作者陽(みなみ)先生を紹介するサプライズがあり、大きな拍手の下一言ご挨拶もあった。
 
アンケート集計には、「感激!感動!」「やさしさ」「思いやり」「愛」「介護にヒント」「夫婦の在り方にヒント」などの言葉が並び、ほとんどが映画、トークとも「良かった」と大好評。会には次回の期待も寄せていただいた。
今回で3.11支援チャリティは最終回。来場者の支援に感謝!

No.115 2019年4月20日発行「16ミリ試写室だより」

発行「16ミリ試写室だより」No.114

16ミリ試写室だより

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

No.114 2019年1月10日発行「16ミリ試写室だより」

  • 主演俳優 升毅氏を招き 映画「八重子のハミング」上映会
  • 映画「武蔵野」上映会 大好評で終わる(第26回有料上映会 東日本大震災復興支援チャリティ上映会nNo9)
  • 有料上映会に参加して 市中央図書館 松原大輔
  • 映画会情報
  • 「しろいにじの家」の映画会
  • 浦賀シネマは「虎踊り」を特集
  • 私たちの指導者 月刊「社会教育」社会教育主事 小澤英夫氏 と 機材の技術指導下さった 新谷力氏
  • 風「私」と「わたし」~とある認知症当事者との会話から~ (社福)心の会三輪医院 院長 千場純
  • 運営だより 活動の要 ユニークな「定例会」
  • 映写活動報告
  • 会員ふれあいメール 雑多な世界 横浜本牧の想い出 辰巳留美子
  • その他予定など

【報告】有料上映会「武蔵野」

2018年11月18日(日曜日)
横須賀市 文化会館 大ホールにて
ゲストに原村政樹監督をお招きして、ドキュメンタリー映画「武蔵野 〜江戸の循環農業が息づく〜」を上映しました。

16ミリ試写室のメンバー

(撮影:たつみるみこ)


開催の詳細:【有料上映会】武蔵野(2018/11/18)

【有料上映会】武蔵野(2018/11/18)


お天気に恵まれた11月18日(日)の午後、横須賀市文化会館でドキュメンタリー映画「武蔵野」を上映し、地元川越在住ドキュメンタリー映画監督原村政樹氏のお話を伺った。いつものように年齢の高い方々が多く400人ほどの、自然や農業に関心を持つお客様で賑わった。

映画には、埼玉県西部に広がる美しい平地林武蔵野の中に、今でもこの森の恵みを活かして「日本農業遺産」の江戸の循環農業を受け継ぎ、活き活きと守り続ける農村の姿が美しい自然とともに映像詩のように描かれ、変化の激しい今、「時代が変わっても、変えてはならないことがある」ことに気付かされた。

上映後のトークでは、「大都市近郊に広大な平地林が残されている場所は他にはない。ここは江戸の開拓村で、森にはたくさんの生物が生息し、四季折々の自然が美しい。しかし、開発の波が押し寄せ徐々に姿を消しつつある現状で、この貴重な平地林を未来につなげたい」との思いから、「広く知ってほしい」と一人で撮影を始めたという。この映画の製作がきっかけで、出会った心温かな農家の人々や活動家のお話なども伺った後、熱心な来場者と質疑応答もあった。

当日のアンケート集計によると、回答者の約95%が映画、トークともに「良かった」と評価。回答者の中に農家や自然に関心のある方が多く、その理由として「武蔵野や江戸の循環農業を知ることができた」、「土づくりの奥 深さを知った」『「伝統を受け継ぐこと」「自然を守ること」の大切さを学んだ』等々の膨大な感動・感想を寄せてくださり、現実・事実を知り、気付き・考えさせられたと大好評。当会にも、上映活動に対し温かな声援お寄せいただき、有難い。
なお、3.11大震災義援金は、被災地で子ども支援を展開する NPO法人カタリバに、会場の募金35,802円は北海道胆振東部地震災害義援金として日赤に送金した。

16ミリ試写室だより No.114 「映画「武蔵野」上映会 大好評で終わる」より

「風の波紋」映画監督 小林茂 氏より

2018年8月19日におこなわれた有料上映会でご登壇してくださった、ドキュメンタリー映画『風の波紋』の監督、小林茂氏よりメッセージをいただいました。
No.113「16ミリ試写室だより」(2018年10月15日発行)掲載


生きていればこそ、映画を作られる

映画監督 小林茂

「こんどは横須賀で『風の波紋』を上映しますから、そのときには来てくださいね」と16ミリ試写室のみなさんから声をかけられたのは、江戸川区であった「メイシネマ祭」でした。横須賀から遠路、小さな映画祭にも足を運んでいることに驚いた。

その活動は40年にもおよび、私の初監督作品『こどものそら』も上映してくれていた。
「まだ、あのころは監督をお呼びするなんて考えられなくて。でも、いまは監督にも来ていただいてトークや市民との交流会もしています」と代表の松澤さん。

その機会は暑い8月にやってきた。会場にはスタッフが黒いTシャツをきて、「私たちは黒子でございます」とシャレている。会場はいっぱい。自主映画会の大変さは身に染みているから頭がさがる。

『風の波紋』は東京から越後妻有に移住し、田んぼと茅葺仕事をしている木暮さん夫妻を中心に地元の人々も含めた新たな「結」を描いている。軽トラで1時間くらいの半径の仲間たちが相互扶助している。

上映中は、笑い声があふれた。
アンケートにも「レーザーカラオケの権兵衛さん、最高です!」「本来の自然の一部として生きていく人間の力強い生き方が魅力」「久しぶりに本物に出会った」と好評。「新潟出身です」というアンケートも数枚あり、感慨深い。

私は水俣病の支援者として、土本典昭監督の作品を自主上映してきた。
福祉映画の柳沢壽男監督について10年。『阿賀に生きる』(佐藤真監督)の撮影で独り立ち。『こどものそら』を劇場公開したのは40代半ばである。その後、重症心身障害者の映画『わたしの季節』を作るときには脳梗塞で倒れ、透析も11年になる。それに佐藤真を失い、うつにもなった。映画をあきらめていたときに自分のルーツのような村に出会い『風の波紋』ができた。

最近は、映画をつくるために生きているようだ。現在は「性虐待」をテーマに『魂のきせき』(仮)の撮影中です。


関連のリンク

風の波紋
http://kazenohamon.com

阿賀に生きる

小林茂監督のtwitter

発行「16ミリ試写室だより」No.113

16ミリ試写室だより

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

No.113 2018年10月15日発行「16ミリ試写室だより」

  • お誘い 日本最大の平地林 武蔵野を描く! 映画「武蔵野」と原村監督のトーク
  • 初トライ!ドキュメンタリー映画2本の上映会が終る
  • 映画会情報
  • 素敵なおくりもの〜定期訪問先から〜
  • 夏のボラ市2018に参加
  • 森田惠子監督「まわる映写機めぐる人生」が完成
     上映活動を通して学び続ける私たちが登場
  • 子供シネマスクールに資金カンパ!
  • 生きていればこそ、映画を作られる 映画監督 小林 茂
  • 運営だより 身近で楽しめるコミセン映画会
  • 会員ふれあいメール 函館で競技スキーに明け暮れる
  • 2か所で活動展示
  • その他報告など

報告【16ミリ映画会】横須賀市の花「ハマオモト」

16ミリ試写室主催、ゲストをお招きした「映像とお話」は、年に3回開催しています。

2018年9月12日(水曜日)横須賀市立中央図書館でおこなわれた、「16ミリ映画会」映像とお話は、横須賀市自然・人文博物館 学芸員 山本薫氏をお招きしました。

16ミリ試写室 松澤澄江

タイトルは『横須賀市の花「ハマオモト」』

横須賀市自然・人文博物館 学芸員 山本薫氏

ハマオモト(ハマユウ)の花の成り立ちや特性、天神島臨海自然教育園での研究調査の過程と結果など、映像資料をもとに解説。

ハマオモトの花の開花は一晩だけであること、香りを出す時間帯に決まりがあることやハマオモトに集まるさまざまな昆虫のことなど、初めて知ることばかりでした。

横須賀市自然・人文博物館 学芸員 山本薫氏

次に、山本薫氏のご専門、植物シダのお話。

「男女の出会いにはコストがかかる」

無配生殖型のシダの説明は冒頭より、会場からは笑いがおこったり和やかな雰囲気。難しい染色体の話も、タンポポなどの身近な植物を例にあげながらの、わかりやすいお話。

質疑応答の時間もたくさんの質問に答えていただき、私たちに観察の楽しさを教えてくださいました。

1部:ハマオモトの話
2部:シダの話
3部:横須賀市自然・人文博物館の紹介

すこしあまった時間で急遽、横須賀市自然・人文博物館の創設からこれからの博物館のありかたの可能性と展望のお話。
博物館創設の映像は16ミリ試写室メンバーからも「懐かしいー」との声。

若き学芸員たちに期待!

山本薫さんと16ミリ試写室のメンバー