【報告】有料上映会「武蔵野」

2018年11月18日(日曜日)
横須賀市 文化会館 大ホールにて
ゲストに原村政樹監督をお招きして、ドキュメンタリー映画「武蔵野 〜江戸の循環農業が息づく〜」を上映しました。

16ミリ試写室のメンバー

(撮影:たつみるみこ)


開催の詳細:【有料上映会】武蔵野(2018/11/18)

【有料上映会】武蔵野(2018/11/18)


お天気に恵まれた11月18日(日)の午後、横須賀市文化会館でドキュメンタリー映画「武蔵野」を上映し、地元川越在住ドキュメンタリー映画監督原村政樹氏のお話を伺った。いつものように年齢の高い方々が多く400人ほどの、自然や農業に関心を持つお客様で賑わった。

映画には、埼玉県西部に広がる美しい平地林武蔵野の中に、今でもこの森の恵みを活かして「日本農業遺産」の江戸の循環農業を受け継ぎ、活き活きと守り続ける農村の姿が美しい自然とともに映像詩のように描かれ、変化の激しい今、「時代が変わっても、変えてはならないことがある」ことに気付かされた。

上映後のトークでは、「大都市近郊に広大な平地林が残されている場所は他にはない。ここは江戸の開拓村で、森にはたくさんの生物が生息し、四季折々の自然が美しい。しかし、開発の波が押し寄せ徐々に姿を消しつつある現状で、この貴重な平地林を未来につなげたい」との思いから、「広く知ってほしい」と一人で撮影を始めたという。この映画の製作がきっかけで、出会った心温かな農家の人々や活動家のお話なども伺った後、熱心な来場者と質疑応答もあった。

当日のアンケート集計によると、回答者の約95%が映画、トークともに「良かった」と評価。回答者の中に農家や自然に関心のある方が多く、その理由として「武蔵野や江戸の循環農業を知ることができた」、「土づくりの奥 深さを知った」『「伝統を受け継ぐこと」「自然を守ること」の大切さを学んだ』等々の膨大な感動・感想を寄せてくださり、現実・事実を知り、気付き・考えさせられたと大好評。当会にも、上映活動に対し温かな声援お寄せいただき、有難い。
なお、3.11大震災義援金は、被災地で子ども支援を展開する NPO法人カタリバに、会場の募金35,802円は北海道胆振東部地震災害義援金として日赤に送金した。

16ミリ試写室だより No.114 「映画「武蔵野」上映会 大好評で終わる」より

「風の波紋」映画監督 小林茂 氏より

2018年8月19日におこなわれた有料上映会でご登壇してくださった、ドキュメンタリー映画『風の波紋』の監督、小林茂氏よりメッセージをいただいました。
No.113「16ミリ試写室だより」(2018年10月15日発行)掲載


生きていればこそ、映画を作られる

映画監督 小林茂

「こんどは横須賀で『風の波紋』を上映しますから、そのときには来てくださいね」と16ミリ試写室のみなさんから声をかけられたのは、江戸川区であった「メイシネマ祭」でした。横須賀から遠路、小さな映画祭にも足を運んでいることに驚いた。

その活動は40年にもおよび、私の初監督作品『こどものそら』も上映してくれていた。
「まだ、あのころは監督をお呼びするなんて考えられなくて。でも、いまは監督にも来ていただいてトークや市民との交流会もしています」と代表の松澤さん。

その機会は暑い8月にやってきた。会場にはスタッフが黒いTシャツをきて、「私たちは黒子でございます」とシャレている。会場はいっぱい。自主映画会の大変さは身に染みているから頭がさがる。

『風の波紋』は東京から越後妻有に移住し、田んぼと茅葺仕事をしている木暮さん夫妻を中心に地元の人々も含めた新たな「結」を描いている。軽トラで1時間くらいの半径の仲間たちが相互扶助している。

上映中は、笑い声があふれた。
アンケートにも「レーザーカラオケの権兵衛さん、最高です!」「本来の自然の一部として生きていく人間の力強い生き方が魅力」「久しぶりに本物に出会った」と好評。「新潟出身です」というアンケートも数枚あり、感慨深い。

私は水俣病の支援者として、土本典昭監督の作品を自主上映してきた。
福祉映画の柳沢壽男監督について10年。『阿賀に生きる』(佐藤真監督)の撮影で独り立ち。『こどものそら』を劇場公開したのは40代半ばである。その後、重症心身障害者の映画『わたしの季節』を作るときには脳梗塞で倒れ、透析も11年になる。それに佐藤真を失い、うつにもなった。映画をあきらめていたときに自分のルーツのような村に出会い『風の波紋』ができた。

最近は、映画をつくるために生きているようだ。現在は「性虐待」をテーマに『魂のきせき』(仮)の撮影中です。


関連のリンク

風の波紋
http://kazenohamon.com

阿賀に生きる

小林茂監督のtwitter

発行「16ミリ試写室だより」No.113

16ミリ試写室だより

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

No.113 2018年10月15日発行「16ミリ試写室だより」

  • お誘い 日本最大の平地林 武蔵野を描く! 映画「武蔵野」と原村監督のトーク
  • 初トライ!ドキュメンタリー映画2本の上映会が終る
  • 映画会情報
  • 素敵なおくりもの〜定期訪問先から〜
  • 夏のボラ市2018に参加
  • 森田惠子監督「まわる映写機めぐる人生」が完成
     上映活動を通して学び続ける私たちが登場
  • 子供シネマスクールに資金カンパ!
  • 生きていればこそ、映画を作られる 映画監督 小林 茂
  • 運営だより 身近で楽しめるコミセン映画会
  • 会員ふれあいメール 函館で競技スキーに明け暮れる
  • 2か所で活動展示
  • その他報告など

報告【16ミリ映画会】横須賀市の花「ハマオモト」

16ミリ試写室主催、ゲストをお招きした「映像とお話」は、年に3回開催しています。

2018年9月12日(水曜日)横須賀市立中央図書館でおこなわれた、「16ミリ映画会」映像とお話は、横須賀市自然・人文博物館 学芸員 山本薫氏をお招きしました。

16ミリ試写室 松澤澄江

タイトルは『横須賀市の花「ハマオモト」』

横須賀市自然・人文博物館 学芸員 山本薫氏

ハマオモト(ハマユウ)の花の成り立ちや特性、天神島臨海自然教育園での研究調査の過程と結果など、映像資料をもとに解説。

ハマオモトの花の開花は一晩だけであること、香りを出す時間帯に決まりがあることやハマオモトに集まるさまざまな昆虫のことなど、初めて知ることばかりでした。

横須賀市自然・人文博物館 学芸員 山本薫氏

次に、山本薫氏のご専門、植物シダのお話。

「男女の出会いにはコストがかかる」

無配生殖型のシダの説明は冒頭より、会場からは笑いがおこったり和やかな雰囲気。難しい染色体の話も、タンポポなどの身近な植物を例にあげながらの、わかりやすいお話。

質疑応答の時間もたくさんの質問に答えていただき、私たちに観察の楽しさを教えてくださいました。

1部:ハマオモトの話
2部:シダの話
3部:横須賀市自然・人文博物館の紹介

すこしあまった時間で急遽、横須賀市自然・人文博物館の創設からこれからの博物館のありかたの可能性と展望のお話。
博物館創設の映像は16ミリ試写室メンバーからも「懐かしいー」との声。

若き学芸員たちに期待!

山本薫さんと16ミリ試写室のメンバー

発行「16ミリ試写室だより」No.112

16ミリ試写室だより

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

No.112 2018年7月24日発行「16ミリ試写室だより」

  • 「ドキュメンタリー映画と制作者のトーク」迫る!
  • やっとWEBの仲間入り!素敵なホームページを公開
     かっこいい女性たち
  • 映画会情報
  • 日頃の映画会から(報告)
    毎月第2水曜日の「16ミリ映画会」2題
     5月9日「映像とお話」 テーマ横須賀のまつり 講師 山本詔一氏
     7月11日 映画「ガラスのうさぎ」上映
    コミュニティセンター講座の映画会
     7月17日 映画「はやぶさ」上映
  • 伊勢真一監督「やさしくなあに」に出会う
  • 鈴木慶江コンサートのお手伝いと「オペラティック ヒロインズ」の鑑賞
  • 風(No.54)「16ミリ試写会の活動に感謝」元市教育委員会社会教育課長 齋藤稔
  • 運営だより 夏の夜の三笠公園野外映画鑑賞会
  • 会員ふれあいメール 今も忘れ得ぬ戦後のひとこま 古橋康子
  • 研修会 〜操作技術研修と映像の試写〜
  • その他報告など

発行「16ミリ試写室だより」No.111

16ミリ試写室だより

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

No.111 2018年5月1日発行「16ミリ試写室だより」

  • 「ある精肉店のはなし」上映会を終えて
  • 「良質な映画」を届ける上映活動の取り組み
  • 映画会情報
  • 桜さん 会いに来たよ 映写活動に大切な試写会
  • 講演会に参加「子どもに寄り添い、SOSに気づくために」
  • 大和市文化創造の拠点「大和シリウス」の見学
  • 風(No.53)「16ミリ試写室をお手本として」映画監督 纐纈あや
  • 運営だより「わんぱくキッズ」のお楽しみ映画会
  • 会員ふれあいメール 嬉しかったごほうび 穴澤光恵
  • その他報告など

映画「ある精肉店のはなし」上映会を終えて

とても暖かなお天気に恵まれた3月4日(日曜日)午後、大スクリーンを備えた大津コミュニティセンター体育室に、映画のナレーターも務める若い纐纈あや監督と191人のお客様を迎えて、標記有料上映会が賑やかに開催された。

映画は「いのちを食べて いのちは生きる」をテーマに、育てた牛を屠畜し肉にして売ってきた大阪府内の精肉店「北出精肉店」の、家族の歴史と日常を追ったドキュメンタリー作品。みな仕事をするのが当たり前の北出家は、いつも楽しく食卓に集う4世代家族。稼業を継ぎ7代目となる主人公たちの心にあるのは被差別部落ゆえの、いわれなき差別を受けてきた父の姿。差別のない社会を願い、家族が仕事に誇りを持ち積極的に学校や地域社会にかかわる姿も、重い内容にもかかわらず爽やかに描かれていた。

ショッキングな屠畜の現場や肉への鮮やかな手さばき、難しい被差別部落のことなど、次々と未知の世界へ誘う映像に引き込まれ、考えさせられた。

纐纈あや監督の講演では、屠畜場の見学会がきっかけで「いのちを食べて いのちは生きる!」に気付き、2、3か月間、連日のように北出精肉店に通って映像化に同意いただいたが、屠畜の映像、被差別部落のことなど多くの課題があったという苦労話は圧巻だ。

温かく美しい映像づくりに努めたという。直立不動で話す監督の熱き思い・諦めない心に誰もが圧倒された。

その後参加者との質疑応答では「戦後、横須賀にも屠畜場があった」と体験者の発言や「イルカ漁」について監督の考えを求めたもの等、時間を超えて大変盛り上がった。

纐纈あや
纐纈あや監督の公演

上映会終了後に来場者に呼びかけた監督を囲む交流会では、獣医師、屠畜関係者等熱心な40人ほどが、お茶を飲みながら和やかに意見、情報交換して映画の余韻を楽しみ、長い上映会が終わった。

アンケート集計から回答者の96〜98%が映画、講演ともに「良かった」と。「この料金で良質な映画、講演会、交流会の盛り沢山の内容で大満足」、会には「今後も良質な映画を上映して下さい」のエールに、今回も大きな力をいただいた。ありがたい!

(「16ミリ試写室だより」No.111 より)

ある精肉店のはなし
第24回有料上映会
29年度(横須賀市)市民協働推進補助金交付事業(2) 

映画「ある精肉店のはなし」上映
纐纈あや(はなぶさ あや)監督の講演

日時:2018年3月4日 13:30〜
会場:横須賀市大津コミュニティセンター


関連のリンク

映画「ある精肉店のはなし」
やしほ映画社
纐纈あや(facebook)
横須賀市大津コミュニティセンター