森田惠子監督「まわる映写機めぐる人生」が完成

上映活動を通して学び続ける私たち「16ミリ試写室」が登場!

2018年8月29日、東京人形町にある試写室で標記映画完成試写会に参加し、久しぶりに素敵でエネルギッシュな森田恵子監督と再会した。

ドキュメンタリー映画の森田監督との出会いは2011年、数名の会員と出掛けた監督の映画にまつわる3部作の1作目「小さな町の小さな映画館」の試写会場。桜映画社からのご案内がご縁で、名刺代わりに会のリーフレットとたよりをお渡しした。その後横浜の映画館で、2作目の「旅する映写機」を鑑賞するなど、たよりやFacebookを通して交流を深めた。
2016年には「姫と王子たち」を公開、11月新潟県柿崎の「かきざき映画祭」に出かけ再会し、夜の交流会で監督や原村監督等と盛り上がった。

2017年1月に監督から一通の手紙をいただいた。それが今回の作品への協力要請であった。

監督は3部作目のこの映画パンフレットに「長年に亘る支配人で映写技師の素晴らしい話がきっかけで、“映画全盛期の体験”を記録しなければ」と思い、2014年6月、映写技師の撮影からスタート、その後は台本のないまま、いもづる式に撮影を重ねた、と記載している。

松澤会長の35年余りに亘る16ミリ試写室での活動が監督の目に触れ、映画づくりのいもづるにつながったとの理解のないままに、気軽に引き受けた。出来上がった作品には提供した資料や写真から、懐かしい社会教育主事故小澤英夫氏はじめ多くの会員が映し出され、活動風景が紹介されていた。

嬉しい!出来上がりだ。

この映画には、映画にまつわる1施設と10人の体験が紹介されている。
プロの映写技師、映写機修理技術者、地域で映画製作をした人、自主上映活動家などに交じって「上映活動を通して学び続ける女性たち」で松澤会長が登場する。活動のきっかけや会の研修、活動の様子がインタビュー、写真、そしてハイランド子ども映画会会場での撮影映像を通し紹介され、的確に監督のナレーションでまとめられていた。インタビューは中央図書館の小会議室にカメラを据えて撮った監督との雑談であり、映画会の撮影もひっそりと目立つことがなく、カメラを意識し緊張することもない普段通りありのままの姿に、これが当にドキュメンタリー映画と思った。

何時の日かこのドキュメンタリー映画「まわる映写機めぐる人生」を横須賀で上映してみたい!

No.113「16ミリ試写室だより」(2018年10月15日発行)掲載


映画「まわる映写機めぐる人生」
https://www.projector-life.com

映画が誕生して120余年。映すことに心をかたむけた人を訪ねました。『小さな町の小さな映画館』『旅する映写機』に続く、映画にまつわる森田惠子監督作品完結編。

「風の波紋」映画監督 小林茂 氏より

2018年8月19日におこなわれた有料上映会でご登壇してくださった、ドキュメンタリー映画『風の波紋』の監督、小林茂氏よりメッセージをいただいました。
No.113「16ミリ試写室だより」(2018年10月15日発行)掲載


生きていればこそ、映画を作られる

映画監督 小林茂

「こんどは横須賀で『風の波紋』を上映しますから、そのときには来てくださいね」と16ミリ試写室のみなさんから声をかけられたのは、江戸川区であった「メイシネマ祭」でした。横須賀から遠路、小さな映画祭にも足を運んでいることに驚いた。

その活動は40年にもおよび、私の初監督作品『こどものそら』も上映してくれていた。
「まだ、あのころは監督をお呼びするなんて考えられなくて。でも、いまは監督にも来ていただいてトークや市民との交流会もしています」と代表の松澤さん。

その機会は暑い8月にやってきた。会場にはスタッフが黒いTシャツをきて、「私たちは黒子でございます」とシャレている。会場はいっぱい。自主映画会の大変さは身に染みているから頭がさがる。

『風の波紋』は東京から越後妻有に移住し、田んぼと茅葺仕事をしている木暮さん夫妻を中心に地元の人々も含めた新たな「結」を描いている。軽トラで1時間くらいの半径の仲間たちが相互扶助している。

上映中は、笑い声があふれた。
アンケートにも「レーザーカラオケの権兵衛さん、最高です!」「本来の自然の一部として生きていく人間の力強い生き方が魅力」「久しぶりに本物に出会った」と好評。「新潟出身です」というアンケートも数枚あり、感慨深い。

私は水俣病の支援者として、土本典昭監督の作品を自主上映してきた。
福祉映画の柳沢壽男監督について10年。『阿賀に生きる』(佐藤真監督)の撮影で独り立ち。『こどものそら』を劇場公開したのは40代半ばである。その後、重症心身障害者の映画『わたしの季節』を作るときには脳梗塞で倒れ、透析も11年になる。それに佐藤真を失い、うつにもなった。映画をあきらめていたときに自分のルーツのような村に出会い『風の波紋』ができた。

最近は、映画をつくるために生きているようだ。現在は「性虐待」をテーマに『魂のきせき』(仮)の撮影中です。


関連のリンク

風の波紋
http://kazenohamon.com

阿賀に生きる

小林茂監督のtwitter

発行「16ミリ試写室だより」No.113

16ミリ試写室だより

16ミリ試写室の会報誌「16ミリ試写室だより」は年4回発行しています。

No.113 2018年10月15日発行「16ミリ試写室だより」

  • お誘い 日本最大の平地林 武蔵野を描く! 映画「武蔵野」と原村監督のトーク
  • 初トライ!ドキュメンタリー映画2本の上映会が終る
  • 映画会情報
  • 素敵なおくりもの〜定期訪問先から〜
  • 夏のボラ市2018に参加
  • 森田惠子監督「まわる映写機めぐる人生」が完成
     上映活動を通して学び続ける私たちが登場
  • 子供シネマスクールに資金カンパ!
  • 生きていればこそ、映画を作られる 映画監督 小林 茂
  • 運営だより 身近で楽しめるコミセン映画会
  • 会員ふれあいメール 函館で競技スキーに明け暮れる
  • 2か所で活動展示
  • その他報告など

報告【16ミリ映画会】横須賀市の花「ハマオモト」

16ミリ試写室主催、ゲストをお招きした「映像とお話」は、年に3回開催しています。

2018年9月12日(水曜日)横須賀市立中央図書館でおこなわれた、「16ミリ映画会」映像とお話は、横須賀市自然・人文博物館 学芸員 山本薫氏をお招きしました。

16ミリ試写室 松澤澄江

タイトルは『横須賀市の花「ハマオモト」』

横須賀市自然・人文博物館 学芸員 山本薫氏

ハマオモト(ハマユウ)の花の成り立ちや特性、天神島臨海自然教育園での研究調査の過程と結果など、映像資料をもとに解説。

ハマオモトの花の開花は一晩だけであること、香りを出す時間帯に決まりがあることやハマオモトに集まるさまざまな昆虫のことなど、初めて知ることばかりでした。

横須賀市自然・人文博物館 学芸員 山本薫氏

次に、山本薫氏のご専門、植物シダのお話。

「男女の出会いにはコストがかかる」

無配生殖型のシダの説明は冒頭より、会場からは笑いがおこったり和やかな雰囲気。難しい染色体の話も、タンポポなどの身近な植物を例にあげながらの、わかりやすいお話。

質疑応答の時間もたくさんの質問に答えていただき、私たちに観察の楽しさを教えてくださいました。

1部:ハマオモトの話
2部:シダの話
3部:横須賀市自然・人文博物館の紹介

すこしあまった時間で急遽、横須賀市自然・人文博物館の創設からこれからの博物館のありかたの可能性と展望のお話。
博物館創設の映像は16ミリ試写室メンバーからも「懐かしいー」との声。

若き学芸員たちに期待!

山本薫さんと16ミリ試写室のメンバー